⑧⑨話 黒坂真琴伊達領へ・雇われる小糸小滝姉妹
【時系列・原作書籍⑤巻・第四章・磐城巡察】
私は頭を丸めた姿を見せなくてはと、常陸大納言様の元に今一度謝罪に行く。
「本当に申し訳ありませんでした」
「謝罪はもう良いよ」
「寛大な御言葉に感謝致します。常陸大納言様、正直に申し上げます。あの二人、光衛門の遠縁の娘ではなく我らの殿、伊達藤次郎政宗公の正室愛の方様遠縁の者。二人は磐梯山近くで薬草採りをし生活しておりました。常陸大納言様が描いていらっしゃる女子に似ていたため、御側に仕えるのに良いだろうと召し出された者」
「なるほどね、伊達家と縁ある女子が俺のお手つきとなればか・・・・・・」
「仕組んだわけだな」
柳生宗矩の視線が一際厳しくなる。
「仕組むもなにも本当に常陸大納言様と伊達家の縁を深めたいと思った次第にございます」
「宗矩、もう良いから。伊達家との縁ね~正式に申し込んできたら考えはしたけど?わざわざ遠回しなことしないで、で、あの二人はどうするの?本当に遊郭送り?」
「光衛門がその様にもうしたのですか?とんでもございません。遠縁と言えども愛の方様に縁ある者、その様な事はいたしません。元の薬草採りに戻そうかと」
「薬草採りね~・・・・・・薬草の知識が深いの?」
「あの二人の父親は田村家で雇われていた薬師でして、薬草だけでなく薬師としての知識も」
「へぇ~欲しい人材かも」
「御大将、薬師が欲しいなら上様に言上すれば誰かお手配してくださいましょう。わざわざあの様な女子を雇わなくても氏素性が確かな者が雇えます」
「ん~宗矩にはわからないよね。あの二人には良い気を感じるんだよ。だから興味はあるんだ」
「陰陽の力で感じたわけでございますね、ん~それを言われてしまうと反対が出来ません。旅の最中は身の周りの事を、茨城の城に戻りましたら学校生徒に薬草の知識を教える者として雇えばよろしいのでは?」
「おっ、それいいね、採用。俺の側室にするつもりだったんだから身辺調査はしっかりしていたんでしょ?その綺麗に剃った頭を信じて雇わせて貰うよ。いいね?」
「はっ、常陸大納言様のお好きなようにしていただけるとあの二人喜ぶかと」
二人を部屋に呼び寄せると常陸大納言様は、
「小糸小滝姉妹、その方たちには薬草の知識があると聞いた。それをうちの学校生徒に広めて欲しい。よって俺の家臣として雇う」
「姉様、側室ではなく家臣でした」
「しっ、直答しないの」
「あ~家臣として雇うからって別にかしこまらないで。普通に接して貰わないと俺が困るから。あまり萎縮しないで。うちの生徒達にもそう指導してるし」
「御大将、御自身の身分をお考えください。当家で既に働いている者達なら桜子の方様達の教育でその様になっておりますが他家の者からしたら大納言とは雲上人、畏まるのは当然のこと」
「あの~お話中申し訳ないのですが、一つお聞かせいただいてよろしいでしょうか?」
「ん夜伽の事かな? 夜伽はなし。もしするとしたなら家族に迎え入れてから」
「御大将は御側室も婚儀をしておる。夜這いなどするでないぞ。色仕掛けは逆効果、御大将を不快にするだけ」
「夜伽なしでした姉様」
「しっ」
「兎に角、旅の最中は身の周りの事頼んだよ。鬼庭左衛門綱元、この事これ以上話なし。そしてだれも罰する事はこれ以上無し。いいね」
「はっ」
側室としてではなかったがなんとか小糸小滝姉妹を黒坂家内部に送る事は出来た。
殿は納得してくれるだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます