⑧⑥話 黒坂真琴伊達領へ・本陣湯本屋台所
【時系列・原作書籍⑤巻・第四章・磐城巡察】
「鬼庭様、相談だっぺ。常陸大納言様に何をお出ししたらいいんだっぺ?料理の腕が凄いとの噂は耳にしてんだ」
光衛門が私に相談してきた。
それを宿の巡察をしていた小次郎政道様に聞かれてしまう。
「あ~御大将の食事?特別な気を使われるほうが嫌がるよ。御大将は贅沢三昧の食事をしているわけではないから。ただ、温かい物は温かいうちにってこだわりあるから」
「それではお毒味が十分に出来なくもしも伊達家をおとしめようとする間者が紛れていると大変な事に」
「光衛門とやら、その様な身元不明の者を雇っているの?」
小次郎政道様が問うと、
「口減らしで家を出された女子を保護するのに何人か雇うようお達しが伊達のお殿様のお達しで出ていて」
常陸大納言様の様に全てを仙台で受け入れ学ばせる余裕がなくその為苦肉の策で商家預けとしている。
「兄上様が御大将のまねごとをするには流石に藩の財政が追い付かないか・・・・・・それはそれとして、賄監視役に私の家臣を数名置いて吟味役は私がするよ」
「小次郎様にその様な事をさせたとあらば殿、いや、大殿様に叱られます。吟味役は私が」
「それだと柳生殿は納得しないよ。御大将の側近纏め役として当たり前の事、父上様や母上様も私が黒坂家に仕えているのだからもしもの事があってもなにも言わないはず」
「そう言われましても・・・・・・」
「兎に角、御大将のお毒味は私がいたし伊達家に疑念抱かれること無きようにしなければ」
伊達家と黒坂家の間に立たされている小次郎政道様の御心境を察するとこれ以上は何も言えなかった。
もしもの事が起きないよう平城から妻と信頼する当家の台所方を急ぎ呼び寄せて常陸大納言様にお出しする食事を作らせることとした。
「うわ~田舎の宿に来たから田舎料理が楽しめると思ったのに本膳料理かぁ~いや~豪勢にしなくて良いからね」
武家の習いに従って出した本膳料理は常陸大納言様に受けが悪かった。
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