㊽話 五浦城
【時系列・原作書籍④巻付近】
我の領地磐城、隣は黒坂常陸様領地・常陸国。
その境近くの五浦と呼ばれる景勝地と平潟・大津の港も取り込んだ南北に細長い城の築城が始まったと知らせが届いた。
築城担当は、織田家家中でも築城に長けていると噂がある大男・藤堂高虎。
やはり磐城との境の守りを堅くするか?
そして屈強な大男を城主とする。
いずれ奥州に兵を向ける時の為の布石。
手強い敵になりそうだなと思っていると黒坂常陸様に仕える弟小次郎政道から手紙が届き、2万石の加増に加え黒坂家家老職を命じられた事が書かれていた。
領地は黒坂領北部地域。
そして、五浦城が完成したら城主として入る事が決まったと。
ん?
伊達家と領地を隣としているのにその弟を近くに据える?
御家争いの火種にするため?
しかし、最早その様な事を言う者はあの戦の後当家にはいない。
じゃ~なんのため?
我と小次郎政道が結託したら常陸国に兵が進めやすくなるとは考えないのか?
なにを考えている?
「殿、常陸国の五浦城縄張りを探らせましたが、どうも戦う城とは思えません。あまりにも手薄」
「城造りが得意だと噂されている藤堂高虎が差配しているのにか?」
「いや、流石と言うのか変わった造りを試しているようで、海岸に細長い城。岬がいくつかありましてそこに変わった立て方の櫓を造っております。完成した櫓は夜になると最上階が煌々と光を放っております」
片倉小十郎景綱が知らせてくる城、謎が多い。
光らせる・・・・・・岬から・・・・・・港・・・・・・。
「船の往来の為だな。夜でも港に船を入れやすくするため、道しるべにもなる」
「なるほど、五浦城がわかればそこを通り過ぎれば伊達領、っとなれば夜中突如伊達領砲撃が」
「あり得る。戦の主役は船と大砲に変わった。その為手薄なのやも知れぬぞ五浦城」
「そんな城だからこそ小次郎様・・・・・・」
「もし裏切れば海から砲撃、陸が手薄なら軍勢も攻めやすい。・・・・・・小次郎は試されているな黒坂常陸様に」
「だと思われます」
「しばらく様子見、そっとしておく」
「はっ、小次郎様が五浦に入られても家臣の往来は正式な使者のみと致しましょう。黒坂家の忍びが見張っていると考えます」
「あぁ我もそう思う」
家老として黒坂家を本当に支えていくに値するか試すのに五浦城。
中々腹黒いな黒坂常陸様は・・・・・・。
実は全くそんな事はなく単純に奥州との連絡を円滑に行うために五浦城に小次郎が入れられた事を数年後知る事になる。
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