㊾話 萌美少女城
【時系列・原作書籍④巻付近】
1588年10月1日
黒坂常陸様が元々あった土浦城の隣、霞ヶ浦を望む丘を使い、徳川家が総力をあげて建てた城が完成し、それを公開した。
当然、町民に紛れさせた伊達家の忍び黒脛巾組をその公開に行かせた。
報告をまとめた物を読む。
今まで見たことのない構え。
東西南北、5カ所三角に飛び出た構え。
それを二の丸、三の丸段々で造っている。
絵図で公開された所を描いている。
塀には大変多い鉄砲狭間がある。
絵図を見ながらよくよく考える。
・・・・・・これは守りながら攻める城ではないか!
死角がない。
押し寄せる敵を三角に突出した郭から狙い撃ち。
火縄銃と大砲を改良した黒坂常陸様はそれに合った城も考えつくのか。
流石と言う言葉を使いたくはないがそう言わざるを得ない。
そして城に入る大手門は鉄城門で、ん?美少女が装飾されていて『鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門』と名前がある?
城を守る装飾に風神雷神は良いだろうがそれを美少女で表現した?
そんな物に威厳はあるのか?
理解に苦しむ。
そして見学は二の丸、三の丸の間が許され、振る舞い料理が、しかも噂の異国料理。
我の父上様が驚いたという異国料理を大盤振る舞い。
これは黒坂家がどれほど財力があるかを見せつけているのだろう。
佐竹や北条の旧領地。
黒坂家を敵と思っている者も城に行ったはず。
それを異国料理大盤振る舞いで黙らせる。
流石、織田信長公の軍師と囁かれるだけある。
(・・・・・・のちに聞くことになるがそんなつもりは全くなかったそうだ。)
報告は続きが書かれ、天守は近江の安土城や京の都の銀閣寺城に負けない巨大な物で・・・・・・?壁には遊興彫りの金の美少女が108体?
黒の壁に金の美少女が輝き大変雅びな城と書かれていた。
最早想像が追い付かない。
黒坂常陸様の頭はどうなっているんだ?
威厳を表すはずの天守を美少女?遊んでいるのか?わからぬ、わからぬが見て見たい。
また上洛が命じられるだろうからその時にでも寄ってみよう。
最期に城の名前が『茨城城』となったと書いてある。
これはこれを書いた者が誤字ったのだろう。
まさか、城城なんて・・・・・・。
のちに誤字ではなく本当に『茨城城』であることを知る。
そしてこの城は巷では萌美少女城などと言う異名が全国に伝わりそれ見たさの者達が集まり、町が大変賑わうことになる。
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