㊷話 黒坂流建築技術
《時系列原作書籍④巻付近》
「殿、城大工を集め築城の準備をはじめているのですが、織田家の築城技術がかなり進んでいると噂が」
片倉小十郎景綱が知らせてきた。
技術の進化・・・・・・まさか!
「黒坂常陸様か?」
「御推察の通りでなにやら『黒坂流建築術』と呼ばれているようで大層地震に強い造りとの事。それにとても早く建物が建つとか」
丈夫なのに早い?
相対する事のような気がするが・・・・・・。
「その築城技術盗めるのか?」
「いや、それがでして、黒坂家で教え広めているとのこと」
「厳しく隠している秘密とやらではないのか?」
黒坂常陸様が造らせたとされる船や大砲の技術に探る為忍びを送ると帰ってくることはなかった。
始末されたに違いないだろう。
「小次郎様に手紙を送り確認してみます」
しばらくして帰ってきた手紙には、
『黒坂家の築城技術・農業改革・医療知識は民の暮らしが少しでも良くなればと御大将が広めています。築城技術を知りたければ丁度、常陸国土浦城を大がかりな増築をはじめていますのでそちらに大工を送り下さればよろしいかと。御大将が大工の棟梁として雇った左甚五郎なる者の下で学べます』
「小十郎、小次郎が嘘をつくとは思えん。試しに若い大工を送ってみろ」
「本当に教えてもらえるか、はたまた人手が欲しいからの嘘か見極める為ですね」
「あぁ、多くの大名が加増国替えで城普請は多い。人手はどこも欲しいはず」
「すぐに見繕って」
若いまだ未熟な大工5人を試しに送ってみると、三ヶ月で基本的な耐震構造技術と、『ぱねる工法』なる聞き慣れない技術を教えられてきた。
一カ所工房を造り、そこで決められた大きさの壁を作る。
それを整地された場所まで運び組み合わせる『ぱねる工法』。
「小十郎、これなら『ぱねる』を船に乗せ仙台にも小名浜にも送れるな」
「はっ、工房で職人が作ってしまえば組み上げる所には熟練の大工が必要ではないので人員確保がしやすくなります」
「すぐに取り入れよ。それとまた土浦に大工を送り技術を学ばせるのじゃ」
「はっ、手配いたします」
10人の大工を送ると雷除けの細工を学んできた。
確かに近江と京の都の建物には取り付けられていた。
地面に繋がる鎖が付いた槍がなぜに屋根に?と、思っていたが雷の恐ろしい力を地面に流す受雷神槍。
陰陽師として雷神様がどの様な力で火事を引き起こすか知っているからこそ出来る事なのか?
真相はわからないが、この槍を付けた城では雷の被害が出ていないと聞く。
ならば物は試し付けてみるか。
大工不足で何年もかかると考えていた仙台城・小名浜城の築城だったが、一年で寝起きには困らない仮御殿が建てられた。
黒坂家の築城技術の知識の謎、それを探る事は御法度だが技術を広める事には手を貸す黒坂常陸様、謎過ぎる。
だが、この知識を知ってしまうと黒坂家で進めている新農業の知識も手に入れなければ・・・・・・。
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