㊶話 仙台城
《時系列原作書籍④巻付近》
春の雪解けを待ち陸前視察。
雪深く海から遠い米沢から海近くに居を移そうと考えて陸前を見て回る。
先ずは鹽竈神社を参拝して、松島に。
小さな島々が見える海岸。
しばらく沈黙して見入ってしまう。
この地を城から毎日見ていたい。
「殿、ここは平地が少なく町を造るには不向き、もう少し南に開けた土地がございます。そちらを是非見ていただきたく」
片倉小十郎景綱は既に居城とするのら相応しい土地を見つけていた。
昔使われていた山城跡に案内された。
山裾には大きな川が流れ東には広い平地が広がる。
「殿、ここは青葉山と言い川は広瀬川と呼ばれています。この地なら川が堀として役に立つかと」
もう少し海に近いところがと言おうとしたとき、なぜか不思議とこの平地が大変賑わう街の姿が見えた。
目を一度擦ると消えていた。
「幻影?」
「殿、いかがなさいました?」
「今、とても栄えた街の姿が見えたが気のせいのようだ」
「ここは千体の仏像があったと言われております。もしかしたらその仏がこの地をと呼んでいるのかもしれません」
「千体の仏像のお告げか?まさかな、だがなぜかはわからぬがこの地にとても惹かれるぞ小十郎」
「大きな町を造れる地、海との往来は川を使えば容易きかと。海にあまりに近すぎると砲撃の恐れがございます」
「そうかそれでこの山か、悪くない。この地に城を築く、すぐに手配いたせ」
「はっ、殿、ちなみに城はこの山の名を取り青葉山城でよろしいですか?千代城と以前呼ばれていたと言うので千代城にいたしますか?」
「青葉山城、千代城・・・・・・せんだい・・・・・・」
また不思議な事に頭になぜか『仙台』とむ言う文字が浮かんできた。
仙人が住まう台地か?
故事では仙人は君主を上回る者だとされている。
織田信長公を上回る者?
我?
なってやろうではないか。
小姓に紙と筆を出させ書く。
「この地を仙台とし、城の名を仙台城とする」
「はっ、ではその様にふれを出します」
不思議と心惹かれ幻影が見えた土地は数十年後、本当の姿となる事をこの時我は知らなかった。
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