㉛話 茨城県公認VTuberの掛け軸と黒坂真琴の美少女好き
【原作書籍4巻付近】
米沢の城に帰って一ヶ月が過ぎた。
上方の情報が毎日のように届く。
関東を制圧した織田信長公は水軍の補給を済ませると休まず九州の島津討伐に出陣した。
詳細は不明だが黒坂常陸は近江大津城にとどまっているらしい。
留守居役なのだろうと推察する。
弟小次郎政道は詳しい経緯を知らせてくることはなかったが、『御大将が兄上様に是非とも受け取っていただきたい絵を送らせていただきます』
「小十郎、その黒坂常陸の絵はもう見たのか?」
「いえ、まだ誰も開けていません。こちらです」
見事に表装された掛け軸を床の間に吊し拡げた。
「?ん?・・・・・・なんだこれは?」
頭に提灯鮟鱇を模したであろう烏帽子をかぶった南蛮人少女?
南蛮服を着た少女が描かれていた。
絵の脇に題材であろう者の名が『茨ひより』・・・・・・書・常陸守真琴。
「小十郎、これに意味はあるのか?」
「さぁ、なんと言っていいやら、しかし、常陸様は無類の女好きと噂がございます。人垂らしの術を使い、織田信長公の姪であられる茶々様を正室に迎え、そしてその妹君のお初様を側室に迎え、さらに下女三人を側室に迎えたとか、噂ですが、さらに下の妹君も大変懐いているとか」
「うっ、人垂らしの術か・・・・・・ずんだ餅を喜んで食べていた時のあの表情は確かに良かった・・・・・・」
「殿、常陸様は男色の趣味はないと噂です」
「そうか・・・・・・残念だ」
「殿・・・・・・」
「そんな事より黒坂常陸、いや黒坂常陸様は女子が好きなのか?」
「はい、大変お好きだと噂が」
「そうか、いつぞやの陣での礼をいつかせねばと考えている。奥州の砂金を送ろうか考えていたが父上様から常陸様は言われなき高価な物は受け取らないと聞いた。だったら側室はいかがであろうか?」
「良いかも知れませぬな。その女に黒坂家を探らせれば一石二鳥」
「よし、賢く動きも良い常陸様好みの異国風女子を探せ。出来れば伊達家となにかしらの縁を持っている者が良いな。子を成せば伊達家と縁戚となる」
「一石二鳥どころか三鳥でございますな。すぐに家臣達に心当たりを探らせましょう」
「うむ、頼んだ」
この時、その事が逆鱗に触れる事件となることを我は知らなかった。
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