㉙話 1586年9月3日 関東の殲滅戦・後編
【原作書籍3巻付近】
「殿、上様と黒坂軍が火縄銃を撃ちながら進軍を始めました」
「殿、笠間方面から最上・上杉軍が先方隊が攻め始めました」
「殿、水戸の南には織田・徳川軍が迫っています」
昼になると大砲の弾は尽きかけ砲撃数が減った。
すると新式火縄銃2000丁を持つ織田軍が織田信長公自ら率いて、久慈川を渡る。
時を同じくしてやはり新式火縄銃500丁を持つ黒坂軍・前田慶次隊・真田幸村隊も河口から久慈川を渡った。
敵ももちろん火縄銃で散発に討ち応戦するが、敵の弾は全く届かず、織田軍・黒坂軍は遠くから狙い撃ち。
業を煮やしたと思われる藤五郎成実隊が騎馬隊を率いて遠回りをして逃げる敵兵の追い打ちをしている。
相馬義胤軍は黒坂軍の守りを固め支援している。
「殿、我らもそろそろ動くときかと」
「あいわかった」
我は軍配を振り下ろし、
「くれぐれも織田軍・黒坂軍の前に出るな。鉄砲の餌食になるぞ、突撃、敵を殲滅せよ」
号令した。
逃げ惑う蘆名・佐竹連合軍と一向宗徒の追い打ち。
最早戦ではなく殺戮だ。
武器を捨て、拝んでいる集団にさえ鉄砲の雨を降らせる織田軍。
それを手本として全ての味方が戦意を失っている敵兵に弓を撃ち、槍を刺し、太刀で斬る。
久慈川の水が真っ赤に染まった。
「殿、この戦いで織田の名は高まりましたな」
「・・・・・・戦乱の世はこの戦いで終わるか」
「はっ」
黒坂常陸が作った大砲と新式火縄銃で100000の兵を実質2500で蹴散らした戦。
日本国中この噂を耳にすれば織田家に弓引く大名は二度と出ることはないだろう。
少なくとも東国武士は・・・・・・。
夕焼けで空が真っ赤になる頃には関東の大地も血で真っ赤に染まり、久慈川は血の川となっていた。
これだけの敵兵の血を流した戦いを裏で指揮していたと思われる黒坂常陸は船で今頃祝杯でもあげているのだろうな・・・・・・。
この戦いの後、黒坂常陸は一度も船を降りることなく近江に帰っていた。
黒坂常陸がこの戦いの最中、船で祝杯どころか敵兵のために涙を流し、経を唱えていた事はしばらくして弟・小次郎政道から聞かされることとなる。
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