㉖話 伊達政宗の水浴び

【原作書籍3巻付近】


陣は戦の準備が整いい兵士は夕食を取り交代で見張っている。

こちらは高台、敵の動きは見える。


敵は動かず膠着状態。


我は昼間かいた汗を流すため、大甕神社近くの泉神社境内に湧き出る水を運ばせ水浴びをした。


「いや〜さっぱりするの〜」


「殿、陣の中とはいえ敵は近く、早目にお済ませください」


「わかっておる」


小姓に急かされる。


片倉小十郎景綱だったら叱りつけられているだろう。


小十郎は各隊見回りに行っている為、その隙を突いた水浴びなので早めに切り上げる。


大たらいから立ち上がると、黒い衣に身を包んだ4人


手裏剣を投げてきた。


しゃがみ避けると後ろにいた小姓の眉間に突き刺さり倒れた。


「殿……おにげ…………を」


その小姓に急ぎより脇差しを抜く。


また投げられた手裏剣を脇差しで叩き落とす。


「であえであえ、敵襲!」


もう一人の小姓が叫びながら敵に斬りかかるが、敵に斬られて地面に倒れた。


手練れの忍び?


手裏剣を投げながら走り寄ってくる。


水を入れていた桶でその手裏剣を受け、斬りかかってきた忍びを脇差しで一突きにするが、後ろに回り込んでいた忍びが我の背を狙って斬りかかる。


殺られる!


そう思ったとき、

突然雷鳴?


いや、


銃声だ。


斬りかかってきた忍びが心の臓あたりを押さえ倒れた。


何が起きている?


敵の忍びを囲む10人の忍びが次々と斬り倒していく。


「伊達様、ご安心ください。我らは黒坂家家臣、殿の命で上様と伊達様を守るよう申し使っております」


「黒坂常陸……様が?」


「はっ、北条の忍びが小田原にはおりませんでしたので警戒を」


「北条の忍び……風魔か?」


「だと思われます。我らは上様の守を固めますゆえこれで引きます。伊達様どうか御用心ください」


「殿〜殿〜これは何事!」


片倉小十郎が兵を引き連れ現れる。


「敵襲だ。この者達が助けてくれた」


片倉小十郎に紹介しようとするとすでに消えていた。


「殿?」


「黒坂家の忍びが助けてくれた。剣客並みの優れた腕でなぁ〜」


「それはおそらく裏柳生と呼ばれる者達かと……それより少ない護衛で水浴び、殿、言語道断にございますよ」


「あぁ〜少し油断が過ぎた。すまん……彼らは手厚く葬ってやってくれ。敵の忍びは首を落として晒し首だ」


「はっ、その様に手配致します」


黒坂常陸に借りができてしまった……。


この借りは必ず返さねば……。


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