⑰話 前代未聞・小田原城落城
【原作書籍3巻付近】
我が摺上原で奥州史上最大の合戦勝利に浮かれていた頃、難攻不落とされていた北条の小田原城が一日にして灰燼となった。
その知らせは会津黒川城から磐城に進むなか幕府方奥州軍軍監奉行として派遣された佐々成政によってもたらされた。
ちなみに摺上原の合戦で様子見をしていた最上・相馬・南部軍が突如動き出したのは、織田信長公側近として有名な佐々成政が越後から駆けつけたためだった。
織田信長公に合戦不参加を知られては不味いと思ったのだろう。
そんな摺上原の合戦より小田原城落城の事、あまりにも信じられない話。
あの軍神と恐れられた上杉謙信ですら攻め落とせなかった城をたった一日で?
「殿、佐々殿の伝令は嘘偽りなしと忍びが」
片倉小十郎景綱が疑念を持つ我に知らせた。
「・・・・・・内応していた者が内側からか?」
「いや、見たこともない巨大な船の船団が海から大砲を放ち城を火の海にしたと」
「大砲の弾が海から城に届くのか?」
「北条を見張らせていた忍びは確かな者にございます」
「真のことか・・・・・・まこと?はっ!もしや?」
「はっ、黒坂常陸守真琴が造らせた船と大砲だとか」
鉄砲や大砲、それに船まで造る知識の多さ、
「もしや黒坂常陸は南蛮人なのでは?」
「いや、大殿様の話ではその様な事は言っていなかったかと」
「確かにそうであるな。南蛮人なら父上様もそう申すな。で、徳川三河守はどうしている?小田原の前にやられたか?」
「それが織田水軍と共に出陣していると」
「・・・・・・人には反織田の誘いをしておいてなんたること」
「大殿様の御言葉がなければ今頃・・・・・・」
「であるな。 で、相馬や最上はどうしておる?」
「佐々殿の伝令のあと家臣を小田原に向かわせた気配がございます」
「だろうな。信じられることではないからな」
「殿、我ら伊達軍はどうなされます?小田原と会津黒川城から逃げた兵は常陸に集結しているとの事で」
我は磐城の浜通りが描かれた地図を見て考える。
小田原を落とした船が目を付けるのは・・・・・・。
常陸の港?
いや、陸は南から陸を進む兵がいる。
名だたる大名が競い合って攻めるはず。
団結に欠けている北、逃げ場になりかねない北を抑えたいはず。
織田信長公自らがお出ましにならずとも重臣が北に・・・・・・。
だったら!
「磐城の勿来に陣を張り織田方の船を出迎えるようにしたい」
「はっ、ではそのように進軍致します」
最上、相馬、南部を出し抜くにはどうしたら良いかを考え導き出した答え。
磐城の勿来は常陸との国境、それに九面と平潟と呼ばれる港が近くにある。
ここで陣を張っていれば必ず来る。
必ず・・・・・・。
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