⑯話 1586年7月14日・後編
【原作書籍3巻付近】
燦々と照りつける太陽が一番高くまで上り戦場の熱気だけでなく地表まで熱くなる。
我の甲冑も敵の返り血を蒸発させるほど熱くなる。
片倉小十郎景綱は止めたが伊達家全軍で進撃、蘆名・佐竹連合軍に突撃。
戦っているのは我らだけ。
劣勢を中々覆せない。
あと少し、あと少しで藤五郎成実部隊と合流出来る。
あと少しで・・・・・・。
藤五郎、このまま死なせてなるものか。
我自身槍を取り足軽雑兵と戦う。
くそ、最上、相馬が動けばこれくらいの劣勢覆せるのに奴らは様子見か!
「伝令、相馬、最上に蘆名・佐竹連合軍の横腹を突けと申しつけよ」
「殿、あの方々はこちらが有利とならぬまで動きませんぞ。伊達と蘆名・佐竹の共倒れを願っているに相違ありません」
「おのれ~!やはり味方ではないのか」
「殿、退き陣の合図を!藤五郎成実殿はこの片倉小十郎景綱にお任せを」
「小十郎死ぬ気か許さん」
「殿、どうかお引きください」
片倉小十郎景綱と言い争っていると突如、黄色い綿帽子を被った老兵が指揮する1000ほどの隊が蘆名・佐竹連合軍の脇を突いた。
この瞬間、天も味方した。
突如北から吹き付ける風、そして黒い雲。
あっという間に稲光と豪雨となる。
蘆名・佐竹連合軍に向けて吹き付ける雷雨。
敵兵は雨で前がよく見えなくなり、うちの軍の死に物狂いの槍に刺された。
少しずつ形勢が変わると、後方から追い抜けていく相馬の騎馬隊が蘆名・佐竹連合軍の正面を切り崩すと、最上が西から横腹を突いた。
天候によって伊達軍有利と判断したのかそれとも織田家の使者でも軍にいたのか?定かではないが、味方が動き一気に形勢は逆転した。
逃げ惑う蘆名・佐竹連合軍を追い立てるように攻めると陣は総崩れとなった。
いつのまにか雷雨は止み、猪苗代湖にかかる虹、夕日に照らされた磐梯山。
その裾野で味方勝利の勝ちどきが上がった。
摺上原の合戦は味方勝利で幕を下ろした。
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