⑮話 1586年7月14日・前編

【原作書籍3巻付近】


反幕府軍

蘆名・佐竹連合軍・約48000

宇都宮国綱・約3000

那須資晴・約2500

壬生義男雄・約2000

およそ55000が蘆名黒川城付近に集結していると情報が入った。

会津の蘆名、常陸の佐竹、この二家は敵となることはわかっていたが、

下野の大名達まで反幕府として挙兵した事に戸惑った。


西から大軍を進めている織田軍との決戦を前に奥州を鎮め勢いとしたいのだろうが、

我の伊達軍・約25000

伯父・最上義光軍・約19000

相馬義胤軍・約9000

南部義直軍・約9000

およそ62000が幕府軍として猪苗代湖周辺に集まる。


伯父・最上義光、宿敵・相馬義胤味方として戦う日が来ようとは・・・・・・。


そんな事を深く考えている暇はない。


相馬義胤軍・9000が猪苗代湖を南下して会津に向かう素振りを見せると籠城戦は不利と判断したのか反幕府軍は北に打って出た。


伊達軍は磐梯山の裾野、摺上原に陣を構える。


「殿、先方は我らに御命じ下さい」


味方の他大名の陣形が整う前に申し出た藤五郎成実に片倉小十郎景綱が、


「数の上では勝っているとは言え大軍、藤五郎殿、様子を見ましょう。陣形を整えて決戦に挑むのが正道」


「なにを悠長な事を言っておる。今こそ伊達の名を轟かせる好機、いざ出陣の御下知を」


体から湯気を立たせている藤五郎成実のあまりの勇ましさに、


「先陣は藤五郎成実、いざ」


「いざ」


出陣を許すと藤五郎成実はすぐに突撃を始めた。


反幕府軍の陣形の隙を突いた藤五郎成実軍が本陣近くまで斬り込むが、風が敵に味方した。


「殿、藤五郎成実軍が押されていますぞ」


「藤五郎を死なせてはならん、我らも前に」


「いけません殿、まずは鬼庭左衛門隊と白石宗実隊を救援に」


「ええい、それこそ流暢な事を言っていられるか!全軍前へ!伊達が動けば最上も相馬も南部も動くいざ!」


様子見を決めていたであろう味方を出し抜いて反幕府軍に攻めかかる。

今こそ伊達の名を!


だが、南から吹く風が砂埃を我が軍に・・・・・・。


「殿、今は不利にございます。退却を」


「ならぬ、一歩もひいてはならぬぞ」


我の甲冑にも敵の矢が当たる。


藤五郎成実を助けるため、伊達の名を轟かせるため・・・・・・鹽竈大明神よ我に力を貸し与えたまへ!

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