⑨話 伊達家相続

【原作書籍2巻付近】


父上様は織田信長公征夷大将軍宣下の儀を終え小次郎政道を近江大津城城主となった黒坂常陸に預けると米沢の城に帰城した。

織田信長公に我に伊達家を相続する事を申し出て、許しを得たと上機嫌だった。


我は征夷大将軍といえ伊達家の事を織田信長公に伺いを立てることなのかと疑問だったが父上様が京や近江、そして黒坂家で出された料理の事をあまりに嬉しそうに話すので水を差すまいと言葉にはしなかった。

近江大津城で出された南蛮の薬膳汁飯が大変美味かったと褒める父上様はあまりにも無邪気な笑顔だった。

黒坂常陸が作る料理、人の心を掴むほどの物なのかと興味が湧く。

土産にと持たされた木の年輪の様な見たこともない菓子、カビていたため黒坂常陸の味を知る事は出来なかった。


1585年4月


伊達家家臣一同が集められ、我の伊達家相続の義が正式に行われた。


「皆、この日をもって藤次郎政宗が伊達家の棟梁である。しかと心得よ。異論は一切認めん」


父上様がその言葉を言うと座を我と移り変わって我は上座の中心に座った。


「「「おめでとうございます」」」


家臣一同が揃って言うと、


「藤次郎、みなに一言」


父上様が返事を促してきた。


「これより伊達家を預かる身となった藤次郎政宗である。これまで以上に忠義に励むべし」


「あまり偉そうにするな。家臣一同の支えがあってこその伊達家・・・・・・まぁ~良かろうもう口出しはするまい」


「父上様にはこの藤次郎政宗をいつまでも支えていただき間違った方へ向かいそうになったら止めていただきとうございます」


「憎らしいことを言うの~だがいつまでもここにとどまっていたら誰が棟梁かわからん。よって儂は舘山城に居を移す。米沢の城から目と鼻の先。なにかあれば使いをよこせ。儂がこちらに登城する」


「父上様を家臣のように扱うなど・・・・・・」


「よいかそれがけじめというものだ。みな心いたせ」


列席している家臣にそう言い残して退室した。


伊達家は曾祖父、祖父と跡目相続で争いが続いた。

それを危惧しての父上様の行動に我は父上様と争うことだけはしまいと退室した父上様影を目で追い目礼をした。

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