④話 伊達家vs相馬家

【原作書籍1巻付近】


父上様が不在な事を知ったであろう相馬家が伊達領へ進軍を始めた。


近隣諸国の武将達は伊達家が織田家の臣下になったことから動かず、戦は大森城主・伊達藤五郎成実の兵で退けるに終わった。


「藤五郎成実殿から相馬領に押し出す許しを願い出ておりますが」


「小十郎はどう思う?」


「大殿様が御不在、それに織田家の家臣となった今、勝手に領地を拡げる行いははばかるべきかと」


我の心を読み取ったかのような答えだった。


「我もそう思うが、藤五郎は攻め立てたがろうな。 他が静観している今、相馬と伊達の一騎打ちだからの」


「ですが殿、織田家へ臣下の礼を及んだ今は勝手な争いは控えるべきかと・・・・・・大殿様が近江に滞在しているので余計に・・・・・・気性荒きと噂される左大臣様のご不興となれば大殿様の命すら危うきかと」


「小十郎、そなた藤五郎を抑えられるか?」


「御命令とあれば鎮めてみせましょう」


いつもながらに冷静に言う片倉小十郎景綱に頼むことにした。


1583年夏、片倉小十郎景綱は相馬を今こそ攻めるべきと勢いづいている藤五郎成実を鎮め、相馬と停戦の和睦を行った。


相馬家も我が父上様より少し遅れてだったが、織田信長公の臣下の礼をとったため織田家家中の争い事として裁きを受けることを危惧してだった。


我は父上様不在中に相馬家を滅ぼし磐城を手に入れたかった。

その心を読み取った藤五郎成実だったのだが・・・・・・。


「藤五郎はさぞ立腹していたのであろうな?」


「それはもう酷い怒りようで伊達家本軍など当てにせず自ら突撃して相馬を滅ぼすと息巻いておりましたが八丁目城の棲安斎様が大殿様の命は織田信長公の手のひらの中と諫められ矛を収められました」


棲安斎とは藤五郎成実の実父にして我の大叔父。


「藤五郎にも棲安斎にも我慢をさせてしまったか・・・・・・」


「殿、これが誰かの家臣になるということにございます。勝手に戦をすれば御家断絶は当たり前の事」


「であるな・・・・・・」


我はこの時家名より父上様の身が心配だった。


最近、なぜか父上様が攫われ阿武隈川河畔で御討ち死にされる夢を続けて見ている。


不思議と鮮明な夢を続けて見る。

うなされている我を妻の愛が心配するほどだった。


その為余計に近江に居る父上様の身が心配でならなかった。


「藤五郎成実には相馬との戦は控えるように申しつけてくれ」


「はっ」


この時、我は数年後、長年対峙してきた相馬家と同じ陣で味方として戦う事を予想していなかった。


まさか織田家の軍勢として戦う事になろうとは・・・・・・。

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