コミックス重版出来・御礼特別SS《座布団革命》

うぅぅぅ腰痛いなぁ。


元重臣明智光秀の屋敷といっても板の間。


座に敷く畳はあるが基本的にフローリング、ここで長時間の執務はキツい。


なにか対策しないと腰だけでなくお尻も悲鳴をあげそうだ。


茨城弁で言えば『めどぶっちゃけちまうべよ』だな。


ふかふか座布団でも作って貰うか?あっ!ドーナツ型座布団なんてどうだろう?




「ねぇ~梅子、綿って仕入れてこれる?」




「はいのです。 今井様のお店で相談すればすぐ届くと思いますのです。 御主人様のお布団まだふかふかですけど買い換えですか? 打ち直しますけどです」




「あ~あの布団はまだ大丈夫だよ。 ふかふか座布団が欲しくてね」




「でしたら、綿多くと頼んで作らせてきますですよ」




「こんな形でも大丈夫かな?」




俺はドーナツ型座布団を絵にして渡すと、




「えっ?なんで、真ん中穴開いてるですか?」




「お尻の穴に優しいんだよ」




「えぇぇぇぇぇぇ! 御主人様、痔? 薬師呼びますです」




「ちがうちがう、まだ大丈夫だけどなりそうだから、この形の座布団が欲しいの」




「本当に大丈夫ですか? その・・・・・・お尻見られるの嫌で言ってませんです? 御主人様のお体のことは逐一森様に報告しないとならないのですです」




「お尻の事まで報告しなくて良いから! っとに、俺は蘭丸のお尻のほうが心配だけど」




「???ん???」




「良いのお子ちゃまは気にしなくて。 とりあえずドーナツ型座布団、注文してみて」




「はいのです」




数日して、金襴生地で作られた無駄に豪華なドーナツ型座布団が届いた。




「うっ・・・・・・なんで仏壇の前にありそうな座布団生地で作るかな?」




「え? 今井様のお店に頼んだら御主人様が使うなら当然だろうと番頭さんが言っていたのです。 で、使い心地はどうですかです」




座ってみると少し堅めだが、骨盤をガッシリとサポートしてくれて座り心地が良い。


穴もしっかりとフィットしている。




「おっ! これ良いから大量に注文するよ。 城の広間も痛くて」




「わかりましたのです。 御主人様がお考えの物は高く売れると今井様はもう作り始めているのです」




「えっ!これを?」




「はいのです」




うぅぅぅぅ座布団革命してしまったかも。


売れるのか?売れないよな?


まさか売れないよな?


スタンダードにならないよな?まさか・・・・・・。




って、やっぱりなるのかよ!




クッション性のない和鞍で、お尻が悲鳴をあげた武士に受けてしまって人気となってしまった。


痔に悩まされる武士って凄い多いらしい。


江戸時代だと文献に残っているが、参勤交代中に痔が悪化し死んだお殿様や、新田開発で馬に乗ることが多かった大岡越前も痔で悩まされたらしいから。


だが、良いのか?スタンダードの座布団がドーナツ型座布団になって?




仏壇の前に置かれる座布団がこれになる時代線って・・・・・・なんか、ごめんなさい。




「常陸様がお考えになられた穴の開いた円形座布団良いですね!」




森蘭丸がやたら喜んでいた。


深く考えないでおこう。


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