30.5話 《前田慶次》 コミックス1巻大好評御礼・特別SS

俺なんて家臣にして何がしたいんだろうね、うちの若大将は?




まぁ良いか、大した仕事もなしで5000石なんて。ん?森蘭丸から呼び出し?なんだ?




森家の屋敷に出向くと茶室に通された。


俺の忍びを近づけさせないと言うことか?流石、上様に買われているだけの事はあるか。




「お呼び立てして申し訳ないです。 しかし、内密に『上意』をお渡し致します」




「はぁ?こんな所で上様の上意?」




「お呼び立てしても城に登城しなかったではありませんか、良いですか読み上げます」




『黒坂真琴について知り得た事を他に漏らすこと決して許さぬ。 それは、又左衛門利家でもだ。 もし漏らしたなら前田といえども容赦はせぬ。 全てを腹のうちにしまい込み黒坂真琴を守れ。 世の中の女子が泣かなくて良い世などと言う戯れ言を申す黒坂真琴、しかし、それを実現する力を持っている。 織田家と言うより、国のため、民、百姓のため、働ける男、その男を守ってみせよ』




「へぇ~そんなにあの若大将は優れた才を持っていると?」




「秘密を漏らすなと言うことには何も思わないのですか?」




「あぁ~もうすぐ知ってしまいましたからね、まっ、叔父上に言った所で狐でも取り憑いたか!と、ぶん殴られて終わり。 それに、5000石なんて裏があるとは思っていましたからね」




「ふははははははっ、流石食えぬ男と噂されるだけはある」




「上様があの知識を欲しているというより、女子が泣かなくて済む世ねぇ~男慶次の見せ所ってもんよ」




「わかって下さるなら良いが。 そうそう、目付役もすぐに行きますから」




「はぁ?この慶次、女の為なら裏切らないぜ。 誰をよこすつもり?」




「柳生宗厳の子とその一族の忍び、上様は柳生宗厳を3万石をお与えになり御庭番としてお取り立てする」




「なるほどね、剣と忍びに長けている一族を大出世を餌に買ったってわけかい? こりゃ~厄介だ」




「他にも、真田の次男を呼んでいる」




「はぁ?戸隠の忍びを飼っているって聞くが」




「三家でお互いを見張っていれば上様の命も違えぬだろうと」




「かぁ~恐ろしいね、上様は! だが、この慶次、女が泣かない世ってなら見て見たい。 黒坂真琴に命賭けてみようじゃないか」




「私もこの戦国の世が終わるなら黒坂真琴に賭けてみたいと思っていたのです」




「なんだい、気合うじゃねぇ~か、茶なんて飲んでねぇで、酒飲みに行くぞ!良い店知ってんだついてきな」




「酒は・・・・・・」




「ええい、酒の飲み方ってものを教えてやるってんだよ、ほら行くぞ」




「強引な・・・・・・」




◆◇◆◇




「ねぇ~慶次、さっき城に出向いたら、蘭丸が頭抱えて、二日酔いが辛い二度と前田殿とは飲みに行きたくないって言ってたけど、飲ませたの?」




「酒の飲み方を教えに連れて行っただけですぜ、御大将も行きますか?」




「俺は20歳まで飲まないから」




「20歳?あと4年も???なにかの願掛け?」




「未来のルールじゃなくて、うちの決まりだから! 黒坂家の決まり!」




うん、上様、俺たちより、この口と気が緩い本人をどうにかした方が良いんじゃないか?っとに、厄介な大将の御守だな。


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