23.5話『買われる桜子三姉妹・前編』6巻・発売直前特別SS
「坊丸、女子おなごを見繕ってこい」
明智光秀の残党を討ち滅ぼし、安土に帰ると上様に唐突に命じられた。
上様は言葉が短すぎる、何が目的?上様が抱く?いや、側室様方がおいでになる。
新しい側室が欲しいなら家臣の娘を・・・・・・。
なら女子は何のため?
「顔つきは異国人のように目は大きく鼻も高い方が良かろう、あやつの袋に入っていた怪しげな人型の飾りが南蛮人のようであったからな、好きなのであろう。胸も大きな女子が良いのであろう。だが、ふくよかな娘ではない」
「あっ、黒坂様の御側に仕えさせる下女ですか?」
今のは黒坂様が持っていた袋に入っていたビードロとは違う不思議な材質の人型の物。
黒坂様に返したときに『ふぅ~お宝の『きぃほるだぁ』も無事で良かった』と呟いていたが、その物で上様は黒坂様の好みと判断しているのであろう。
「そうだ、なにの話をしていると思った?儂ではない。あやつに女子をあてがう。少しは気晴らしになるだろう」
「確かに、お一人で心細いかと・・・・・・しかし、私では女子の善し悪しは・・・・・・」
「利家の甥が大層、女子好きの遊び人と聞く、その者と買って参れ」
「はっ」
前田慶次、安土の街でも有名な歌舞伎者。
前田利家様も手を焼いているとか。
前田邸に出向くと、前田利家様の奥方、松様が、
「慶次ですか?戦から帰ってからは毎日、昼間っから飲みに行っておりますわよ。困ったもので・・・・・・上様に命で下女を買いに行かねばならぬのですか? 確かにそれなら慶次は適任・・・・・・確か、城下の鯨屋と言う少しいかがわしい店を根城にしていると聞いています。・・・・・・坊丸様のお若さで、その様なところに行かせるのも・・・・・・」
「上様の命ですから間違いなく遂行しなければなりませんのでお気遣いなく。 鯨屋、訪ねてみましょう」
安土の城下は明智光秀の謀反騒ぎが嘘のように賑わいを取り戻していた。
これも上様が御健在が知れ渡ったことが大きいのだろう。
「きゃ~可愛い~ぼく~筆おろしに来たの?お姉さんがお相手してあげる」
「なにが、お姉さんよ三十路のおばさんが、ねぇ~私が優しく教えてあげるわよ」
体を売る者が集まる歓楽街に来てみると、誘惑してくる白粉臭い女子が寄ってたかって集まってきた。
「鬱陶しい。 上様、織田信長様の命にて来ておる。邪魔をするな。 鯨屋はどこぞ? 前田慶次殿はどこにおるか知らぬか?」
「織田様の・・・・・・若いのに大変ね~、前田様なら、ほら、あの店よ」
集まってきた女子が上様の名を出すと散らばったが、一人が教えてくれた。
歓楽街の中でも一際大きな店、宿屋の看板を出していたが中に入ると、女子の匂いが充満しており、むせかえるほどだ。
「ごめん、織田信長様近習、森坊丸と申す。 ここに前田殿が逗留していると聞いたのだが?」
「へい、前田様なら奥で、どんちゃん騒ぎを」
上がらせて貰い、案内された部屋に行くと???
え?
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