特別SS・『織田信長と茶々』(本編21話22話の間)21.5話

「お前を呼び出したのは他でもない、あの茨城の暴れ馬と自称している阿呆のことよ」




「伯父上様、黒坂様がなにか?」




私は明智の残党狩りを済ませた伯父・織田信長に突如茶室に呼ばれた。


今までこの様な事一度たりともなかったのに。


小谷の城から連れられ来た時以来だと思う。


母上様は時たま何やら話していたが、私は父浅井長政の仇としてどうしても見ていた。


許せないと言う気持ちはなく、仇討ちなども考えていないが、恐かった。


第六天魔王と自称しているだけの気迫を持っている伯父、織田信長。


何を考えているのか良くわからない。




「あの男は見所がある。 心を掴んでみせよ」




「えっ?」




客分にしたばかりの男を織田信長が高く買う?


自分が助けられたから?


陰陽師の力が珍しい?


甲冑を物ともせず斬る剣の腕が欲しい?




「不思議か? いずれ知るときが来よう。 あの男はいずれ織田家中一となる、すぐにだ。 猿などものともせずにな」




「羽柴を超して? その様な人物、今までどこで埋もれていたのです?」




「ぬはははははははっ、本能寺の下に埋もれていたのよ、ぬはははははははっ」




私には何を意味していたのか、この時理解が出来なかった。




しばらくして、その意味を知ることとなった。




そして私が惚れる事になるなんて・・・・・・。

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