茨城県応援・特別SS・高萩市(時系列200話付近)
「ねぇ、真琴様、この北茨城市と日立市にある地の話はまだ聞いていませんでしたが、ここはどの様な所なの?」
お初が俺の描いた地図を見て、ふと思い出したように言った。
「高萩市かぁ~ん~と、花貫ダム、ダムって水を溜める巨大な人工の池の事ね。 その近くが花貫渓谷と言って景勝地なんだよ。 今からだと信じられないだろうけど、日本って開発が進んで人々が住むところって山々がなくなるんだよ。 だけど、そこに残る自然、その一つ、春は桜、秋は紅葉で散策路になっていてみんな観光で自然を楽しむんだよ」
「・・・・・・山々がなくなるね~想像が追い付かないわ」
「だろうね、あっ、そう言えば想像出来ない事と言えば高萩は巨大パラボラアンテナ、日本初宇宙中継したんだよ」
「真琴様、もっとわかりやすく説明してよね」
「んとね、パラボラアンテナ、今描くね」
パラボラアンテナを描いてお初に見せる。
「この鍋の蓋がどうしたって言うのよ?」
「ん~これ鍋の蓋なら、デイダラボッチの飯でも作れそう。 んとね、城みたいに大きなこの鍋の蓋は、月と地球との間に人が作った『人工衛星』って言う機械からくる電波を受け取るの。 電波・・・・・・科学的に説明できる陰陽の力とか、神通力とか思って。 それをこの大陸とやり取りするの」
アメリカ大陸を指し示して言うと、
「それでなにが良いことあるのよ?」
「手紙がすぐに届くって言えばわかりやすいかな?絵手紙、そう言えば、スマートフォン見せていなかったっけ? こんな風に風景をそのまま切り取った映像が、各家にあるもっと大きい受信箱『テレビ』って言う絡繰り物で見られるの、って痛い痛い痛い、なんで耳引っ張るよ!」
「これ、姉上様には見せて私には見せてくれなかったでしょ?」
「たまたまだって!この『めぐみん印籠』に、しまっていたから見せる機会がなかったの!それにそろそろ壊れそうだし」
「まっ、良いわ。 で、ちなみにそのパラボラアンテナ?で一番最初に見られたのは、さぞ美しい異国の景色だったのでしょうね?」
「・・・・・・アメリカ大統領・・・・・・アメリカの関白殿の暗殺中継」
「はぁ?」
「偶然なんだか、なんなんだか謎に包まれた事件なんだけど、パレードえっと、そのアメリカって国の関白殿の馬揃いを中継するはずが、暗殺になってしまったの」
「なんとも悪夢のような・・・・・・」
「まぁ~そのパラボラアンテナ、俺がこっちに来る少し前に役目を終えて記念公園になっていて、春は桜が咲き乱れる綺麗な所になっていたけど」
「・・・・・・その写し出された関白様の魂はきっと宇宙から見ているかもしれませんね」
「あぁ~そう考えるとそうかも」
アポロ計画秘密の暴露をしようとしていたなどと噂されるケネディ大統領、奇しくも日本国との初宇宙中継テレビは暗殺を報じるニュースだった。
その中継を受信した、茨城県高萩市の巨大パラボラアンテナ施設は『さくら宇宙公園』として残された。
お初が言うように、その桜はケネディ大統領の魂が見ているかもと思いながら、庭の今にも花開きそうな桜に目が向いた。
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