福島県・復興応援特別SS・福島県・あぶくま洞

「ぬぉぉぉぉぉぉぉ、無理に引っ張るな、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ痛いぃぃぃぃぃぃぃ」




「やかましい、でれすけだっぺ」




「小糸、もう良いから先に行きましょ」




「お初の薄情者~~~・・・・・・」




俺は伊達政宗に頼んで、阿武隈と言う地に金堀衆を入れて掘って貰った。


あぶくま洞をみんなに見て欲しくて早く日の目に当てたかった。


大体の場所は覚えていたし、陰陽の力を使い正確な場所を頼むと、時間を要しなかった。


観光地として早く整備して、磐城国の名所にと考えたのだが・・・・・・。


掘り当てたと知らせが来て急いでお初と小滝、小糸を連れ来てみた。


伊達政宗は気を利かせて貸し切りにしてくれた。


そんな洞窟を進むと体が大きい俺は物理的にハマってしまった。


うっ・・・・・・探検コースになる穴だな、ここ。




「ふふふふふっ、大納言様、今押してあげますでした。 ふふふふふっ、あはははははははははっ、だめでした。 笑い堪えられないでした」




人一人やっと通れる穴の後ろを歩いていた小滝、俺がそこにハマって身動きが取れなくなったことに大受けだった。




親父達と来た時は親父がハマっていたのを笑ったが、まさか自分がハマるとは・・・・・・。


福島県田村市にある『あぶくま洞』『阿武隈鍾乳洞』は、史実では1969年・昭和44年に発見されている。


平成時代、確認されている部分で3300メートル、観光用に公開されている部分、最長コースでも720メートル。


その中に大小様々な鍾乳石の柱がある。


竜根御殿と名付けられていた大空間の鍾乳石は圧巻『東洋一』を売り文句にしていたが、その名に恥じぬ見事な物。


中を出来うる限りの行灯や提灯で照らしてくれていた。




小滝がハマる俺の背中を笑いながら押してくれ、やっと進むとその先に広がる大空間。


先に入っていたお初と小糸は絶句し固まっていた。




「・・・・・・」


「・・・・・・」




「なっ、凄いだろ?」




「我を忘れるところでした」




お初はハッと振り向き、小糸は涙を流して拝み始めた。




「故郷にこんな地が眠っていたなんて・・・・・・、なんまいだなんまいだなんまいだ」




「大納言様、すごいでした」




小滝も感動している。




「ここは、田村の地の観光の目玉にしたい」




「・・・・・・大納言様、我が儘言って良いか?」




「どした?小糸」




「ここに土地の神を祀ってくんねえべか? 大納言様の神通力で」




「俺のは神通力ではないけど」




「私からもお願いするわ、真琴様」




「そっか、二人はここに神を見たならきっと住んでいるよ。 うん、伊達政宗に命じて、ここを地の神が住む地として御神域として祀るよう頼んでみるよ」




「ありがとうございます」




史実とは少し違う形となるが、あぶくま洞は地を守る神が眠る場所として、その洞窟その物が神社として祀られるようになり、参拝者が多く訪れるようになっていく。




この福島県の地が賑わうなら、どんな形だって良い。


あぶくま洞、夏に避暑に籠もりたいと考えていたのだがな・・・・・・。




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