福島県・復興応援特別SS・いわき市
「マコ~もう、なんでこんなとこ掘らなきゃいけないの~」
「いいから、兎に角掘るの」
「美味しい物でも獲れるの? もう三日目だよ、飽きたよ。 温泉に戻ろうよ~」
「・・・・・・肉が残っていたなら美味しいのか? 食べてみたいが・・・・・・」
少し暇が出来たので、伊達政道を通じて伊達政宗に頼んで、平成で言う『福島県いわき市大久町入間沢』に来た。
そこにある川、大久川河岸を崩す崩す崩す・・・・・・。
「常陸様、我が殿より何事も常陸様の言うとおりにせよと申し使っておりますが、何を掘り当てれば良いのでしょう? ここまで大がかりなら、金堀衆を呼びますが?」
伊達政宗重臣で磐城湯本奉行の鬼庭綱元も一緒になって掘る。
「化石、ん~と・・・・・・リュウの骨」
「はぁ? 龍? 龍神、ひぃぃぃぃぃぃ、恐れ多い、天罰が!!!!」
「違うんだって、フタバスズキリュウの化石、大昔に生きていた恐竜と言う化石がここに」
「お許し下さい。どうか、龍神様だけはお許しを」
川に頭をこすり溺れかけながら必死に懇願してくる鬼庭綱元の頼みに手を止めた。
「マコの事だから、神様じゃないのはわかるけど、私、飽きた、えいっ」
・・・・・・うっ。
気が付いたときには、湯本温泉で小糸が膝枕をしてくれ、小滝が団扇を扇いでくれていた。
お江お得意の頸動脈絞めで落とされていた。
「くそっ、お江はなにしてる」
「あっ、お目覚めですか? お江様は囲炉裏で雲丹の貝焼きをでした」
そう言って小滝は団扇を仰ぐ手を止め囲炉裏のある部屋の方を団扇で指し示した。
確かに香ばしい磯の香りが漂ってくる。
間違いない、磐城名物・雲丹の貝焼きだな。
「くぅ~、あの食いしん坊、っとにだから一人で来たかったのに」
「大納言様、なに掘っていたんだ?龍なんて罰当たりだっぺ」
「いたっ、小糸、いきなし膝枕やめんじゃねぇ~べよ、でれすけ」
「でれすけ大納言様に言われたくねぇ」
「もう、それより掘り当てたかったのは龍神様には全く関係ないの! この辺りに中生白亜紀、今から約8500年前に住んでいた恐竜の骨を掘り当てたかったの!」
ひたすら掘っていたのは、上野の国立科学博物館に展示してあるフタバスズキリュウ。
ほぼ完全体で出土される化石。
鈴木直様より先に見つければフタバスズキリュウではなく、フタバクロサカリュウとして名を残せたのに。
だが、史実では1968年に発見される。
それより今は400年近く前。
浸食・風化がしていない分、多く掘らなければならない。
確か鈴木直様の時には河岸は浸食で結構露出していて、白亜紀の地層丸見えで、他の化石もよく見つかっていたはず。
そんな河岸をうちの護衛と鬼庭綱元も連れてきた護衛の兵300人で掘っても見つからなかった、
わずかな休みを費やして発掘していたのに、飽きたお江はついに怒って本気で落としてきた。
「大納言様、私たちには謀りかねる事ですが、『龍』と言えば水の神様、どうかそっと眠らせてあげて欲しいでした」
「んだから。 小滝が言うとおりだっぺ。 無理に起こすでねぇ、でれすけ、ほら、その泥で汚れた体、佐波古の湯で隅々まで洗ってやっから行くべ」
「うわっ、待て待て待て、引っ張るな。 二人で無理に引っ張るな」
この後、湯本温泉の湯でいろいろな意味で気持ち良くなった。
くっ、また暇が出来たら堀に来るからな!待ってろよフタバスズキリュウ。
・・・・・・俺が茨城城に帰ると、鬼庭綱元は龍神様を祀る神社を建立してしまった。
掘れなくなってしまったやんけ!!!
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