茨城県応援・特別SS・北茨城市(時系列200話付近)

「御主人様、どぶ汁はこの地図で言うとどこの名物なんですか?」




執務をしている部屋で背伸びをしてあくびをすると、後ろで音をたてないように気づかいながら掃除をしている桜子が壁の地図をジッと見つめていた。




「どぶ汁ねぇ~『どぶ汁』としては、北茨城市、んと、伊達政道に城を任せた、この五浦あたり、平潟や大津が有名で、鮟鱇鍋としてなら大洗が有名だったかな? どっちが発祥地とか限定したら怒られそうだから言わないけど」




うん、不確かなのであまり断定して言えない。


冬の旅番組やグルメ番組だと、どぶ汁の紹介は北茨城市のが多かった。


どっちにしても常磐物の魚が豊富に水揚げされる漁港だが。




「この北茨城と言う地は他にはなにが有名なんですか?」


「ん~と、坂上田村麻呂創建とか言われている神社、花園神社が山深くにあるのだけど、そこが良いんだよ。 山深く緑に囲まれた地に真っ赤な山門、春は石楠花が綺麗で五月には『ささら演舞』の祭礼がよかったなぁ。 あっ、花園神社にも寄進しないと、寺社領の寄進をまずするか・・・・・・」




「あ~んもう、御主人様、もっと聞かせて下さい」




珍しく桜子が甘えてきたので、北茨城市出身のレコード大賞歌手グループの歌を歌ってみた。




「北茨城出身の歌い手でね、良い歌でしょ?って、泣いてるの?」


「御主人様、わからない言葉多いですけど、とっても良い歌詞でした」


「桜子もわかってくれるか? 歌上手いし、絵は芸術的だし、そう言えば甲冑のデザインもしていたなぁ~石井さん・・・・・・」


「まるで御主人様みたいに多才な方なのですね?」


「はははははっ、俺は所詮、人のまねごとだよ。 あ~北茨城の話してたら久々に磯原まんじゅう食べたくなっちゃった」


「あはははははははははっ、お江様みたい。 どんな饅頭ご所望ですか?」


「薄皮にこしあんたっぷり、あっ、砂糖は控えてね。 甘さ控えめで少し小さめ、何個も食べられるようなあっさりしたお饅頭ね」


「は~い、わかりました」




桜子は石井さんの歌を鼻歌で歌いながら、薄皮饅頭を作ってくれた。




お~懐かしい。この何個も食べたくなるサイズに甘さ控えめ、あんこいっぱいが良いんだよ。

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