第972話 茨城城

「久々の茨城城、やはり、この鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門はいつ見ても良いの~」


「うわうわうわうわ・・・・・・との様 なんだ この城 です」


始めて目にするヘーブンは驚きを隠せない様子だった。


隣でお初が頭を抱えながら、


「真琴様の趣向で建てられた初めての城よ。この城から次から次へとよう建てた物だわ」


「お初、もうそれは諦めなさい」


「ですが、姉上様、城ってもっと威厳がある物だと思うのですよね。それが建てるたびになんと言えば良いのか可愛くなっていくし・・・・・・」


「あっ、初姉上様なにげに可愛いって認めてるんだ」


お江がツッコミをすると、お初はお江の頬をつねりながら、


「見慣れてしまっただけよ」


「いたたたたたたたた、あれそう言えばオルショリャちゃんとか出迎えないね?」


城に残した側室と子供たちが出迎えがない。


「はぁはぁはぁはぁ、父上様こちらにお帰りでしたか?」


馬を走らせてきた高琴

たかこと

が、慌てて駆け寄ってきた。


「おぉう、高琴久しいのう、元気だったか?」


「はっ、皆、息災にしておられます」


「しかし、誰も居ないようだが?」


「はっ、新しき城に移られております」


「おっ、噂の袋田に建てた城だな?夏の隠居所だから城とまではする必要はなかったのに」


「え?」


驚きを隠せない高琴は鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしていた。


「だって、袋田とか大子とか冬場、常陸国の中でも一際寒い地だから」


「いや、寒い冬は温泉で体を温めるのかと」


「ん~寒い冬はオーストラリアとか南半球に行こうかなと・・・・・・」


「桃信

もものぶ

の所ですか?」


「うん、季節がこことは逆だから」


「・・・・・・父上様、そのような発想は父上様でしか出来ませんよ。私は異国を知りませんから。兎に角、茨城城は政治の中枢、人の出入りが激しいので、御家族は袋田の城に移っていただきました」


「わかったわかった、無駄にはしないから、明日にでもそちらに向かおう」


「はっ、ではその様に支度いたします」


ん~袋田の城、どれほど大きな城にしてしまったのだろう?


少々不安だ。


季節ごとに南半球北半球って贅沢したかったのに・・・・・・。

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