第971話  ??鹿ノ湯??雲霧仁左衛門?

 「そうか、黒坂常陸がいよいよ帰ってきたか、ふはははは、力を蓄えたぞ。この地に潜みし数年、寄ってきた物たちの魂を食い続けた。やっと動けるまでになったぞ、再び誰かに取り憑いてくれよう。肉体を手に入れ、新しき城とやらに忍び込んでくれる。そして城もろとも燃やしてくれる。さて、鹿ノ湯に湯治に来た者などで良いか、どうせなら若い肉体が良いのだが・・・・・・女にでも化けて・・・・・・」


『ふぅ~極楽極楽。ん?湯煙の中に大きな黒い影が見えたと思ったが?』


コーーン


『狐か?はははっ、狐に化かされるなどもあるまいて・・・・・・そう言えば九尾の狐が討たれた地が近かったが祟りでもあるのかの?はははっ』


一人、殺生石近くの鹿ノ湯の湯治場の風呂に浸かる青年がいた。


「お邪魔してよろしいかしら?」


『えぇ、どうぞどうぞ・・・・・・(若い女子が珍しいものだなぁ~それにしても透き通るような白い肌、銀髪・・・・・・異国の者かの~常陸国には多くの異国の者が出入りしていると聞く、物見遊山にでも来たのかの~)』


「あなた、お名前は?」


『へい、下野のとび職をしております、雲霧屋の仁左衛門と言います』


「そう、仁左衛門様、立派な体、あなたで良いわ」


『え?ちょっと冗談はやめてくだせぇ、この国黒坂常陸守様作られた法度で、女子

おなご

への不埒なことをすると罪が重いんですから、場合によっては男根切除、悪くて死罪なんですから』


「ふふふふふっ、心配ないわ、私があなたの体内に入るのよ」


『え?えぇぇぇぇ、ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ』


一人の男が黒い霧と化した女に襲われた。


「ふはははは、なかなか良い体よの~、ふはははは」

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