第966話 袋田城(仮)

「世界各地から応援が来てくれるとは流石、御大将」


「藤堂殿、これは今までの城より遙かに絢爛豪華な城が出来ますぞ」


「左殿は、その者達を使って御大将が驚く素晴らしき装飾をいたして下さい。城は御大将ならではの五芒星の稜堡式といたします」


「・・・・・・ほう、五芒星とは陰陽師たる大殿様に相応しい。なるほど、なら、一番外側の三角堡には各国の神聖な装飾をしていただきましょう。大殿様は宗教を文化として捉え保護していますからな」


「なるほど、三重の堀で作るつもりだったので郭をどうするか考えていたのです。それは良い」


「二ノ丸の三角堡には大殿様がことさら信仰している神社から分祀していただき社殿を作りましょう。鹿島神宮・筑波山神社・御岩神社・大洗磯前神社・笠間稲荷神社などいかがですか?それぞれの伝承にあった装飾を美少女彫りを施し、絢爛豪華にいたします」


「ほうほう、それもなかなか面白きかな。御大将なら必ずや喜ぶはず」


「今回は厳しい監視がないから、やり放題」


「あははははははっ、それはお初の方様のことですな?」


「さて、なんのことやら、あははははっ。そうだ、城下町にはテルマエを造りましょう」


「てるまえ?」


「大きな銭湯にございます。異国で大殿様が造られていました」


「なるほど、大子や袋田から湯を引いて下々の者も入れるようにいたせば、これまた御大将も喜ぶはず」


「城下町は異国を参考にして、大手門の外に石畳で大きな広場を造るのが良いかと」


「山内殿に大量に石を運んでいただかねばならぬな」


「戦車なるものに引かせれば」


「あぁ、そうであった、あれを使えば人足も楽、多くの石を運べる」


「大殿様が造る絡繰り物は素晴らしき物、使い方次第でどんどん楽になりまするな」


「いかにも、堀切もあの絡繰り物を使うことで大分楽に早く出来る。御大将が帰ってくるまでに完成できるやも」


「御大将はちなみにいまいずこ?」


「なんでも、ユカタン半島?そのような名のところで、ぴらみっど?を見ているとか・・・・・・」


「あぁ、マヤ帝国に行かれているのですね」


「インカ帝国から北上しているとか聞いているが」


「忙しいお方だ」


「はははっ、確かに」


織田信長とともに真琴はアメリカ大陸を視察という名の観光をしている頃、常陸藩袋田では大工事が続いていた。

その工事は、黒坂家始まって以来の最大の築城工事だった。

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