第964話 清帝国
清帝国
ウラジオストクの最上義康と、香港を統治している黒坂信海の策略によって、ユーラシア大陸の部族に武器を貸し、また時には援軍をだし、少数民族の清帝国からの独立を支援していた。
独立した少数民族は、大日本合藩帝国とその同盟国が一つの国として承認、ユーラシア大陸独立国家共同体に加盟する小さな国々として数多く誕生していた。
それは中国という大国を作らせないための真琴の策だった。
平成時代に日本の平和を脅かすような国を作らせないため、一つの大国にせず、少数民族を国としてしまうことで結束をさせさせない。
しかし、食糧などを互助し合うための組織として『独立国家共同体』を作った。
その組織の長には黒坂信海がなっていた。
その結果、清帝国は支配圏を徐々に狭め、タクラマカン砂漠からカザフスタンとキルギスを支配下とする国になった。
◆◇◆◇
「陛下、もう限界にございます。各地の部族はの支援を受けて次々に独立しています。このままですと清そのものを維持できなくなります。どうか、最上義康か黒坂信海に頭を下げるか、スロバキア王国かオスマン帝国に仲介して貰い、黒坂常陸守と和睦の道を」
「出来るか、その様な事・・・・・・くそ、なんなんだ、我が妖気も弱まりつつある・・・・・・、我が魂もまた一つ消えた・・・・・・なんなんだ・・・・・・」
「戦ではもう勝てません。最早残された道は和睦のみ。これ以上の独立に手出しいたさぬよう頭を下げましょう」
「・・・・・・おのれ黒坂真琴・・・・・・あの時、肉体を捨ててでも始末しておくべきだった。くそ・・・・・・。大陸を支配すれば織田信長もろとも殺せる日がくると思っていたのに・・・・・・あの時、浜松で始末しておけば・・・・・・」
「陛下、なにを言われているのかがわかりませんが、ご決断を」
「・・・・・・わかった。オスマン帝国を通して大日本合藩帝国に和睦の使者をだせ。儂、自ら和睦の交渉に出向きたいと伝えるが良い」
「え?陛下自ら?」
「自ら乗り込んでくれる」
「・・・・・・陛下、もしや差し違えようと?」
「黒坂真琴を始末すれば、また世界は混沌に返るはず。さすれば儂の力も高まるはず。世を再び戦乱の世に戻すのだ。人々の憎悪こそが我の糧、憎悪が膨らめば・・・・・・」
「・・・・・・残念です」
「はっ?貴様、今なんと?」
「服部殿、お始末ください」
「貴様、裏切ったか?」
「黒坂信海様から戦乱の世を終わらせるために手伝わぬかと。ヌルハチ様お覚悟」
清帝国皇帝ヌルハチの周りを取り囲む黒い衣に身を包んだ10人の忍者が、一斉に斬りかかった。
「おのれ~儂が儂が儂がこの様なところで死んでたまるか~ぐふぇっ」
素早い漸撃で反撃する間も与えなかった。
床に転がる首・・・・・・倒れる胴体。
死んだかと思うと目を大きく見開き、
「日本に日本に帰ってくれる~~~~~」
「貴様、怨霊の化身か・・・・・・さては、貴様、浜松の城に巣くうたと聞く南光坊天海か!」
「ぬはははははははは、そうかそうか、貴様、徳川の家臣だな?そうかそうか?だが、もう遅い、儂の最後の魂、日の本に飛ばしてくれたわ、ぬはははははははは」
服部半蔵は転がる首を脳天から半分に斬り裂くと、ようやく静かになった。
「最後の戯言か、なにが出来るというのだ。ふざけたやつめ」
黒坂信海からヌルハチの暗殺の命を受けていた服部半蔵はヌルハチの首事、胴体も香港に持ち帰った。
清帝国の歴史はこの日で幕を閉じた。
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