第958話 鎮圧

「今宵こそ好機、大日本合藩帝国からインカは独立するのだー!インカの皇帝にはインカの血筋の者こそ神が喜ぶ者、黒坂真琴、皇帝、太子を討ち取りインカの純血を守るのだーーーー」


どこでも考える事は一緒か。残念だな。


「マコ~、インカ、支配していないのにね」


お江が小さく呟く。


インカ帝国は完全に独立した国家、伊達政宗を補佐役に頼んでいるが支配しているわけではなく、復興と新たな発展の為に尽力して貰っている。


だが、インカ帝国の皇帝ファナ・ピルコワコは俺の側室であり、その息子須佐が次の皇帝の座に座ることになっている。

独立した国家でも俺の支配下と見てしまう者もいたのだろう。


そして、インカ帝国は南米の独立国家共同体をまとめる大国に成長した。

その権力を欲しい物とする者も出てきたのだ。


目の前で兵士を鼓舞しているインカ帝国補佐シャーマン・ムハルドメンが首謀者だった。


織田信長がすぐにライフル銃を構えて一発撃った。


「うわっ、信長様、容赦なし、早い」


シャーマン・ムハルドメンは一度倒れるがすぐに起き上がった。


黄金の胸飾りに弾がめり込んでいて致命傷にならなかった。


「ちっ、心の臓を狙いすぎた」


「弥助、信長様を隠して」


弥助は織田信長を無理矢理、奥の柱まで引きずって行った。


「敵はすぐそこ、黒坂達から血祭りにあげよーーー」


「「「うおーーーーーー」」」


突撃してくる敵兵に、向けて発砲する。


「払いたまへ清めたまへ守りたまへ幸あたへたまへ、鹿島におわします武甕槌大神、力を貸し与えたまへ」


神力を込めて、拳銃を発砲する。


6発撃ったところで弾がなくなり太刀を抜く。


その間に、お江が素早い動きで次々と敵兵の後ろに回っては頸動脈を一撃で斬っていた。


吹き上がる血しぶき、雲から現れた満月が、青々としていたはずの芝生を漆黒色として映し出していた。


「死にたくない者は武器を放棄して、地面に伏せろ、鹿島神道流秘剣・一之太刀・雷鳴」


最速にして最強の技、究極の抜刀術を突っ込みながら放つと一撃で5人が胴体真っ二つとなり倒れていた。


「ひーーーーーーー」


「こんな神がかった強さだなんて聞いていないぞ」


「うわ、逃げろーーーーー」


「ここで殺せば褒美は思いのままぞ、逃げる者は我が統治した国で神への生け贄に祭壇で心臓を取り出してくれる」


逃げ惑う兵と縮こまる兵、そして褒美が欲しくて斬りかかってくる兵、突っ込んでくる兵を次々に首を落とすと、


「父上様、これはいったい何の騒ぎで」


須佐が姿を現すと、


「貴様だけでも道連れにしてやるーーーー」


シャーマン・ムハルドメンは兵の槍を取り突っ込んでいく、そこを遠くから狙っていた織田信長のライフル銃が命中する。


体勢を崩したところを須佐は薙刀で袈裟斬りで半分に斬りさいた。


倒れ込むムハルドメン、


「ぐふぅ~は~は~~、もうはぁはぁ、とりつく・・・・・・げんかい」


絶命の瞬間見えた。


太刀を地面に突き立てて手を印を組む。


「鹿島神道流改、陰陽道式武甕槌大神十束陣、封滅邪気退散」


逃げでようとした妖気の塊を武甕槌大神の力を使って封滅した。


今まで何度か対峙してきた妖魔の気。


弱まっているのを感じた。


争いが消え始めている世界。


その世界では妖魔は弱まっていく。


人を取り憑き支配するのが難しくなるほどに弱体化していくはず。


そう予想していたが、それが確信と変わった。


庭は血で真っ赤に染まっていたが、一切の返り血を浴びていないお江が、


「マコ、大丈夫?」


「あぁ、昔の俺ではないからな大丈夫。だが、久々に人を斬った。嫌なもんだな」


手を見るとお江はしっかりと握ってくれていた。

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