第954話 織田信長と熱気球
「この様な空の飛び方もあるのだな」
「熱気球、結構昔からあるんですよ。実用的でないから廃れてしまいますけどね」
熱気球、諸葛孔明が開発したとか言われていたし、史実時間線では18世紀初頭には有人飛行に成功していたはず。
確か、教会から『異端』扱いされて実験禁止になるんじゃなかったかな?
「温めた空気が上に行く原理を使うとは、なかなか面白きものよ」
「熱気の上昇だけでなく、空気より軽いガスを閉じ込めて飛ぶ、『飛行船』と呼ぶ物も出来るんですけどね。飛行機のほうが便利だからってそんなに活用はされませんでしたけど」
須佐が長年続けていた熱気球研究は実現され、3人までの浮力は発生しないものの、大空に舞い上がった。
熱気球は地上とはひもで結ばれ、凧あげに近いものだったが、ナスカの地上絵を見るには十分な物だ。
須佐の家臣が操縦する熱気球に交替で乗った。
「真琴様、素晴らしき物でした。いく数もの地上絵に私は感動しました」
茶々は感動の涙を流し、お江は
「ねぇ~マコ~、萌美少女地上絵、一体くらい書いちゃおうよ」
と、不穏な事を言い出していた。
「お江、それは出来ないって」
「冗談だよ」
ケラケラと笑っていた。
それぞれ約20分ほどを楽しんだ後、ナスカの地上絵を監視保護し続けるために建てられた小さな砦に入った。
「父上、いかがだったでしょうか?人が空を飛ぶなど実現可能だとは思いませんでした。これを改良し続ければいずれは海をも渡る熱気球が出来ましょう」
自慢げに言う須佐に申し訳ないが、飛行機やヘリコプターまで作ってしまったことを打ち明けると、
「なっなんと、その様な乗り物が作られたのですか?」
「あ~、そう言うの得意な佳代ちゃんがいるから」
「父上様の側室にございますか?」
佳代ちゃんを紹介すると、須佐は
「大空を自由に飛ぶ物など作られるとは、私もその技術を教えて欲しいです」
「真琴君、教えて良いの?」
「ん~、教えても良いけど、須佐、こちらの工業力では作られないぞ。常陸国か、欧州イバラキ島なら大規模で先進的な工場があるけど」
「父上様、是非とも行きとうございます」
須佐は目を輝かせて言う。
「須佐、インカ帝国の皇帝を継ぐ身、そう簡単に言うな。取り敢えずなら船に積んであるから乗せてあげられるが」
「父上様、乗とうございます。是非とも乗らせて下さい」
「わかった。わかった。そう焦るな。逃げたりはしないのだから」
「ですが、父上様は一度離れられるとなかなか帰ってこられないので」
「わかった、わかった。お初に使いを出させて飛ばして貰うから、ここでしばらく待て」
自分で船まで行きたいと言う須佐を抑えるのは少々苦労した。
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