第945話 織田信長とモアイ像
「なんだ、この島の石像は?奇怪な物だな」
と、織田信長が言う。
イースター島と史実世界線では名付けられている島。
俺は第一発見者として『モアイ島』と名付けた島。
オーストラリアからインカ帝国を目指している中、途中休息に立ち寄った。
目的は休息だけではなく、巡察も兼ねている。
以前、植樹事業を推進するように手配してから数十年の時が流れている。
流石に前回訪れたときの族長は亡くなられいたが、世代交代しても、その植樹事業はインカ帝国やエクアドルの伊達政宗の支援を受けて進んでいた。
たまに、定期連絡船や輸送船が嵐よけに使っているそうだ。
「常陸、説明せい。電子辞書がないのだからな」
と、モアイ像に興味津々の織田信長、
「これ、『モアイ』って名付けられているんですけど、目的とか全然わかっていないんですよ。失われた文明と言って良いでしょうね」
「目的がわからぬのか?」
「これ、目的どころか運搬の方法すらわかっていないんですよ。石切場から歩かせて運んだと伝承は残っているんですけどね」
「歩くのか?」
「いや、丸太を組んだか敷いて、モアイ像に縄をくくりつけて4方向から人が引っ張り動かしたのではないか?などと言われてますけどね。それに、目も入っていたとか言われているし」
「変わった文化があるもよのな」
「巨石文化の名残と言って良いかもしれませんよ。ここの諸島とでかい頭だけ造る所もあったし」
「日本の大仏建立みたいなものか?」
「さぁ~それはどうでしょうね?」
と、話ながら島を見て回った。
ここに初めて来たときには巨石加工技術すらも忘れられた島だったが、インカ帝国の支援で、今はモアイ島の石を切り出していたところから石を切り出し、貯水槽を造って生活用水確保をし、また、ほとんどなかった木々も周辺の諸島から苗が運ばれ、背丈を超す椰子やノニと思われるような果実がなる木、フルーツなど実っていた。
定期連絡船寄港島との役割を持たせているので、その代価として、穀物などを中心とした食糧が運ばれてくるそうだ。
灯台も櫓程度の物だが建っており、毎夜欠かさず火が灯されるという。
「常陸、一体欲しい」
「運べませんって、石の加工技術はあるので、城近くで造らせたほうが早いですよ」
「ん?そうか?残念だ」
「信長様、これはここにあるべき物かと。日本の仏像を他国に移すような物かと思うんですよね」
「そうかもしれるな。ここにあるべき物はここで見れば良い。今はそれが出来るような世になりつつあるのだから」
「はい、観光としての船旅も一般的にいずれなるでしょうね」
と、モアイ像とモアイ像の間に沈む夕日を見ながら椰子の実酒を酌み交わした。
・・・・・・うん、萌え美少女化したモアイ像が数体、日本のほうを向いていることには目を瞑っておこう。
・・・・・・将来、なんて思われるのだろうか・・・・・・。
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