第925話 太古の味

 南極大陸茨城城で使う水は氷を大鍋で溶かして作っている。


流石に俺も指示するだけには行かず、氷を掘り出し作業をしていると、アセナに乗せてこられた茶々が茶を点ててくれた。


「軟らかい水でお茶も良い味に仕上がったと思いますがいかがでしょう?」


と、聞いてきた。


「お茶 南極で飲む 太古の味」


と、一句詠んでみた。


「真琴様、それでは美味いのかどうなのかわかりません。第一太古の味とは何なんですか?」


「太古の味?」


と、隣で茶を口にしていた織田信長も首を傾げた。


「あいや、お茶はもう本当、美味しいよ。ごめんごめん。太古の味ってのはこの水に秘密があってね」


「ん?水は水だろ」


「信長様、ちょっと待ってて下さいね」


と、俺は氷の塊と、ウィスキーを持ってきた。


「儂はあまり飲まぬのを知っているはずだが?」


「まぁ、音を楽しんで欲しいので」


と、言うと茶々が、


「お酒なのに音?」


と、不思議がった。


「まぁ、静かに聞いて」


と、コップに砕いた大きめの氷を入れ、そこにウィスキーを注いだ。


「これを耳の近くに」


と、二人に渡すと、


「ん?なにか聞こえるな?」


「あら、なにか、プツプツという音が」


と、二人が言う。


「それはね、大昔に閉じ込められた空気が溶け出している音なんですよ。浪漫感じません?」


「なるほど、氷に閉ざされた時だな」


と、織田信長は一口口にして言うと、


「特別な一杯私も一口だけ」


と、飲み目を閉じなにやら考えているようだった。


俺も一杯飲むと・・・・・・。


「御大将、昼間っから酒などおやめ下さいっとにまだ氷切出ししているのに」


と、森力丸に怒られてしまった。


「はははははっ、すまんすまん。今夜はみんな一杯ご馳走するから」


と、誤り俺も作業に戻った。



◆◇信長視点◆◇


「なぁ、茶々、おもしろいの~」


「はい、面白い体験が多すぎて多すぎて」


「常陸に嫁いで良かったであろう?」


「はい、近江にいてはこんな経験出来なかったでしょうから」


「常陸は、まだまだ面白い事をしっているのであろうの~、その全てを知りたい」


「長生きしないとなりませんね」


「ぬははははははははははははっ、今でも十分長生きだがな、ぬははははははははははははっ」

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