第922話 南極大陸拠点設営
1621年11月23日
アセナが運んでくる資材を待つと同時にゲルと呼ばれる遊牧民が使う、テントを2軒設置、犬ぞりで運ばせたダルマ型ストーブの小型版に火を入れる。
今日の寝床だけをなんとか作る。
アセナは資材より先にそのゲルで使う石炭や中に敷く毛皮の絨緞を二往復して、
「お兄ちゃん、今日はこれで最期、後は明日にするね」
と、言って潜水艦に戻って行った。
夏といえども日本の冬より寒い南極大陸。
暖を取りながらストーブで暖めた缶詰を食べた。
ゲルは俺と織田信長と森力丸とお初と小滝、ヘーブンともう一人北欧美少女エミリアの7人、もう一つはうちの家臣8人が使用している。
一つのゲルが凡そ15畳ほどなのでなかなかキツいがしばらくは我慢だ。
「もう夜だというのに明るいの~」
「あ~白夜と言って極夜の逆バージョンに近づいている頃だったはずですから。ただ、寝ないと体力使いますからね信長様はちゃんと休んで下さい。俺たちは交替でストーブの火を絶やさないように」
「うむ、わかった」
と、横になる織田信長。
俺も先に横にさせて貰うと、お初が背中にピッタリとくっついて
「寒がりなんだからくっついていてあげるわよ」
と、言っていた。
ちなみに織田信長には森力丸がくっついていた。
軽く仮眠を取り、小滝達と交替してお初とストーブの火を見ていると、
「風の音が恐いですね」
と、
ゲルの外ではビュービューと吹く音がする。
「ねっ、まさに雪女でも出てきそうだよね」
と、言うと、俺の左腕をがっしり掴むお初、
「あのですね、無意識で冗談のつもりで言っているのでしょうけど、真琴様、忘れてません?自分が陰陽師だって。んな人が妖怪が出てくるかもなんて言われたら私としては・・・・・・」
と、小声で言うと、
「馬鹿か」
と、久々に織田信長の俺に対しての罵倒が聞こえた。
「あっ、起きちゃいました?ごめんなさい」
と、謝ると織田信長はまた目を閉じていた。
小声でお初に、
「ん~雪女は俺も見たことないしいないと思うから」
と、言うと、目をジッと見て手の甲をつねっていた。
南極大陸の夜は人生の中で一番と言って良いほど、恐怖心が出る夜だった。
周りには人はおらず、遮るものもほとんどない土地、それは恐い。
だが、それを口に出してしまえば、他の者達が怯えてしまう。
黙っていたが、それを気がつかないでいるはずがないお初の精一杯のごまかしだった。
何気に付き合い長いのだから当然だろう。
翌朝、不思議な形の日の出を拝んだ。
何が不思議か?それは昇る太陽が四角だったからだ。
お初と見ていると、
「なぜに四角なのだ?」
と、織田信長が起きてきた。
「あ~蜃気楼と言って空気中に反射した太陽の光と合わさってあのような形になるらしいですよ」
「うむ、そうか、その不思議な日の出が見られただけでも来たかいがあったの」
と、ため息を漏らしていた。
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