第920話 南極大陸上陸準備

「お兄ちゃん、あったよ、上陸に適していそうなところ」


と、アセナが戻ってきて言うと織田信長は目をショボショボとさせていた。


「う~目が痛い、白銀の世界は目に悪いの」


「あ、ごめんなさい。準備してあったんですよ。これ」


と、遮光というゴーグルと色つきガラスを合わせた物を渡すと、


「ん?なんだ?」


「雪焼けで目痛めるからそれの保護具です」


ほぼ、土器でよく見られる宇宙人みたいなゴーグルだ。


弥生時代だか縄文時代に使われていた『遮光』は貝殻のような形状の物で細い切れ込みが入っていてそこから見ていたらしいが、それよりは切れ込みを大きくして、そのぶんを色つきガラスで覆って保護している。


「これを付けるのか?・・・・・・美学に反する」


「いやいやいやいや、美学より目保護しないと真面目に見えなくなりますから」


「それは困る」


と、遮光ゴーグルを付ける織田信長・・・・・・ダサいではなくなんだか未来的な姿になっていた。


「上陸する者はみんな着用してね。それと紫外線と言って肌が焼けやすいから必ず皮膚を隠すこと、あと、エジプトから仕入れてる香油で肌の乾燥気を付けて」


と、指示を出す。


「なんだか、めんどくさい地だわね」


と、お初が言う。


「そうだね。今までで一番危険と言って良い地だと思うから。それと最初は少数で上陸する。上陸するのは15名とし、3人ずつ腰縄で結んで離れないようにして。それと、必ず笛も携帯して。あっ、信長様も例外ではないですからね」


「うっ、そうか、儂もか・・・・・・せめて力丸と結べ」


と、小滝に目を冷やされながら返事をしていた。


「最初の上陸隊は俺とお初、あとはヘーブンの犬ぞり隊を二組、あとは皮下脂肪の多そうなお腹プニョリン家臣から順番に選んで、小糸、選別よろしく」


「御主人様、それは良いのですがなぜに、脂肪が多い家臣なのですか?筋肉隆々の家臣のほうがよろしいのでは?」


と、小糸が疑問を口にしていた。


「はははっ、別に戦闘があるわけではないから強さは必要ないよ。あまりにも寒い地は生きているだけで体力使うんだよ。体温を作るために体内で燃焼し続けるからね。だから、皮下脂肪が多い家臣のほうが適している」


と、言うと、お初が


「私、太ってないですけど~」


と、口をとんがらせていた。


「だったら、私行く~」


と、お江が言うが、


「お江、潜水艦をしっかり見ていてくれ。場合によっては潜行するなり退避するなりしてくれ、氷山とぶつかって大破したらお終いだから」


と、言うと自分が適任者だとわかっているお江はそれ以上はなにも言わなかった。


潜水艦はアセナが見つけてきた氷の岬に進んだ。

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