第918話 南極海
「なんだ、静かなものではないか、これなら船でも良かったのではないか?」
と、南極海を進む潜水艦の中で織田信長は言う。
「ん~と、南極海は周囲に遮る物がないので風がとてつもなく強く、波が荒いんですよ。俺の描いた地図にも南緯の線入れてますけど40度から60度の区間は特に酷くて、天地をひっくり返すくらいっと表現されていますよ。うちの船ならそのくらいの波には耐えられるはずですが」
小学生などに見せるべきなのに深夜枠だった名作中の名作と言って良いだろうアニメ『宇宙●りも遠●場所』や、南極探検の犬の物語の映画や、南極で料理をする物語、あの超人気長寿クイズ番組『世界ふ●ぎ発見』や、南極大陸を特集する番組で南極海の荒々しさはよく描かれていた。
船の机などは固定され、動かないようにされるらしく、乗組員も操舵に関係ない者はベッドでただその揺れに耐え忍ぶ。
船酔いに慣れた者でさえ船酔いになり、また、船の中で揺れで転倒して怪我人も出ると聞く。
七つの海で一番荒々しいと聞くこともある。
と、佳代ちゃんを見ると
「当たり前じゃない。私が設計し直した船だもの」
と、自信を見せていた。
「うん、その技術は認めるけど、従業員やら兵士やら疲弊しきるまで働かせるの本当にやめて」
と、釘を刺す。
佳代ちゃんは渋い顔を見せていた。
「だが、つまらぬの~」
「潜水艦に長期間乗るのって案外精神力使いますからね。密閉された空間だと人間『ストレス』と言う精神の疲れ、脳の活動に必要な物質が減ったりして『うつ病』と、呼ばれる気鬱の病になったりしますから」
「常陸は平気なのか?」
「あ~ほら、俺は修行でお堂に籠もって禅もやっていたので、今でもたまにしているんですよ」
「禅か、禅は良い。自らを見る。己自信との戦いだからの」
「信長様は禅するのですか?」
「前はしていたが、今は楽しいことが多くての、そればかりだ」
「はははははっ、あっ、そうだ、ストレッチでもやりません?アセナがそういうの得意ですよ」
「ストレッチ?」
「体の筋肉をほぐす柔軟体操です。アセナ、見せてあげて」
と、言うとアセナは
「お兄ちゃん、こんなんでいい?」
と、あぐらに座ったかと思うと両足を首の後ろに回していた。
「できるか、馬鹿もん」
と、信長は珍しく驚いていた。
「私だって負けないもん」
と、謎の対抗心を見せた、お江がエクソシスト歩行をしていた。
「信長様、アセナやらお江は極端すぎますが、ストレッチは良いですよ。筋肉や関節を柔らかくしておくとケガも静来と言いますから」
「うむ、アセナ、簡単なのから教えよ」
と、手が空いている乗組員達と10畳の畳の部屋でストレッチ教室が始まっていた。
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