第906話 砲撃可能型潜水空母

 筑波山神社から茨城城に戻り数日すると、大子にいた子供達も戻ってきた。


俺は少々執務をこなし、茶々達は学校や食堂や反物工場や缶詰工場、炭鉱や造船所などうちの経済を支えてくれている工場など手分けして視察をしてくれた。


南極大陸に行く準備を進める。食糧は缶詰があり、それを積む。


防寒着はアイスランドで犬ぞりと共に頼んであるが、多いに越したことはなく、樺太から取り寄せる連絡をした。


化学繊維はまだない。


作ろうとすれば作れなくない技術を持っているが、防寒着に関して言うと天然の毛皮ほど有能な物はない。


一説には初期の世界各国から集められた南極観測隊、各国は当時の最新技術の化学繊維で作った防寒着を用意、日本は敗戦直後でそんな生地、技術はなく、毛皮で作った防寒着を持って行ったそうだが、そのほうが温かかった。


などという話を耳にしたことがある。


今は開発に時間がかかる化学繊維より、天然の毛皮のが良い。


執務と同時進行で準備を整えていると、


「マコ~、樺太からも荷物届いたって、あと佳代ちゃんも潜水艦改造ほぼ終わりだって連絡来たよ」


「おっ、そうか?よし、これでこちらの仕事も一段落したから見に行くか」


と、鹿島港に向かうと


「・・・・・・佳代ちゃん・・・・・・改造って言ってなかったっけ?」


一回り大きくなった潜水艦が三隻停泊していた。


「うん、なんか順調に進んだから大幅に改造しちゃった」


と、舌を出して笑っていたが、周りにいる職人達は目の下に隈が出来、やつれていた。


「大殿様・・・・・・休ませてくだせぇ~」


「うおっ、どうした茂光?」


「朝晩休みなしに働かされました」


「佳代ちゃん?」


「へへへへへっ」


「笑い事じゃないよ。本当マッドサイエンティストには時間関係なし?もう、だから、無理させるなって言ったのに。職人のみんなには1ヶ月の休養を与える。領内の温泉宿を無料開放する。しっかり休んでくれ。すまなかった」


と、俺は頭を下げるしかなかった。


潜水艦・ 新月夜 ・艦長・お江

潜水艦・新木花咲取・艦長・東住麻帆

潜水艦・新金毘羅 ・艦長・東住美帆


この三隻が砲撃型潜水艦から大幅に改造され、大日本帝国海軍が造った尹四百型潜水艦のように主砲搭載で、飛行機も3機搭載出来る化物になっていた。


砲撃可能型潜水空母とでも呼ぶのだろうか?


よく短時間でここまで改造したと感心してしまう。


「佳代ちゃん、無理し過ぎ。うちの大切な従業員どんだけ働かせたの?もう、これだから集中した科学者って恐いよ」


「え?真琴君が集中してイラスト書いているときも、ずっと座りっぱなしで微動だにしないじゃん」


「それとこれとは別。もう、次からは誰か監視付けないと本当過労死起こすから」


「ごめんなさい」


と、謝っていた。


「で、飛行機搭載出来るみたいだけど数そんなに揃えられたの?」


「えっ?それはこれから造らせるから」


「うわ、反省してねぇ~・・・・・・ダメ、もうダメ。みんな休み、もう働かせちゃダメ」


「なら、私一人ででも」


「っとに、別に飛行機は重要ではないから良いよ。犬ぞり乗せたり、食糧やら防寒着やら、陣地づくりの資材乗せるから」


「2機だけは私があと少し手を入れれば完成だから二週間だけ待って」


「それは佳代ちゃんだけ?」


「うん、私が最終調整するだけだから」


「・・・・・・お江、見張りして」


「も~しょうがないなぁ~」


と、お江は若干めんどくさそうに返事をしていた。


タイムマシンを作り上げたマッドサイエンティストには砲撃可能型潜水空母はさほど難しい物ではないのだろうけど・・・・・・恐ろしい。


もう何が造られても驚かない自信があるよ。


しかし、荷物を多く積めるのは良いな。


ドーム型住居のパネルも積む手配をしておこう。


着々と、次の出港準備を整えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る