第905話 オーストラリアの織田信長
「うむ、なんだこの生物達は?おっ、こやつは常陸の城の動物園とやらにもいたな?」
「ぜーはぁーぜーはぁー、ちょっと上様、お待ちください、そんなに慌てなくても」
「桃信、ふがいないぞ、これしきの遠乗りで」
常陸と別れて、オーストラリアに来てみれば、不思議な動物たちの宝庫。
足を持っているというのに歩かずピョンピョンと跳ねている生物は人間ほどでかい。
うむ、あのように長いぶら下がったタマタマを自分で踏んでしまいそうだな・・・・・・。
想像すると、儂自身の金玉に痛みが走る思いだった。
「おい、桃信、あの生き物、腹から子が出ているぞ?内臓から顔を出しているのか?」
「違いますよ。ここの生物の多くは腹に袋があって、そこで子育てをするんですよ。ちなみにあの生き物、父上が『カンガルー』と、名付けていましたよ」
「腹に袋?珍妙な生き物よな」
「何でも、大陸が離れているから生物は独自の進化をしたと父上からは教わりましたが」
「進化すると腹に袋が出来るのか?ここの人間も腹に袋があるのか?」
「ありませんよ。人は人です。私の側室はここの者ですが、いたって普通ですよ」
「そうか?人は後からに海を渡ってきたと言う事か・・・・・・いや~それにしても愉快な生き物が多い地だなここは。常陸が気に入るのもわかる気がする」
「はははははっ、父上は何気に生き物好きですからね」
「あやつは生き物と思えば何でも食うがな」
「はははははっ、確かに。ですが、カンガルー、脂身が少なく、さっぱりしていて美味しいのですよ」
「筋肉の塊で堅そうだがな。あやつは食えぬのか?」
「あぁ、コアラですか?あれは餌にしている木に毒があって、それを体内に持っているとかで食べないのですよ」
「ほほう、あやつら自身はその葉は毒ではないのか?なんとも不思議なものよ」
愛くるしいコアラと言う物を無理矢理木から引き離してみると意外にも爪が鋭く、腕に傷が付いた。
「上様を傷つけるとは無礼な生き物、成敗してくれる」
と、家臣が怒ったが、
「よいよい、木から無理矢理捕まえたのは儂ぞ、怒ったのであろう、無礼はこちらだ無粋をするな」
「はっ、申し訳ありませんでした」
「上様、人に慣れたものなら、城で飼っておりますので、そちらを抱いて下さい。袋の中の臭いなど嗅ぐと病みつきですぞ」
と、何やら桃信が興奮していた。
・・・・・・うん、なにか危険を感じるぞ・・・・・・ん?そう言えば常陸は匂いを嗅ぐのが好きな変な趣向を持っていた気がするぞ・・・・・・・桃信、それを受け継いだか?ん~、桃信が言うとおりに匂いを嗅ぐと痛い目をみるやもしれぬ気を付けねば・・・・・・。
俺が必死に茨城城で準備を整えている頃、織田信長は、オーストラリアを満喫していた。
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