第894話 やはり俺の仲間は美少女路線で間違っていない

「犬ぞりとそれの操る者を雇いたいのだが、どうにかなりませんか?これは差し出せとかではなく、本当に雇えるなら雇いたいというお願いなんですが」


自分では認めたくないが、『時の権力者』その言葉に絶対に当てはまってしまう。


お願い事も言葉を間違えば命令になってしまう。


戦艦で控えていたラララを降りて貰って通訳をしてもらう。


ラララは学校で生徒の言葉を学習しているため、ほぼどんな言葉の通訳も出来る。


最早もC3-●Oか?


なぜに戦艦に乗っていたか?


俺よりも寒がりだからだ。


南国育ちのラララにとっては綺麗なオーロラの景色より極夜が衝撃的すぎて、太陽に浴びないせいかしんなりしている。


慣れることが出来ない者は、極夜は鬱状態になる者もいると聞いたことがある。


太陽の光は脳内のいろいろなホルモンに影響するそうだから、そうなるのかもしれない。


「う~寒いです、お江様~」


と、お江を湯たんぽ代わりにしていたのが笑える。


通訳は一歩間違えば大変な事になるため、交渉事があるときは信頼出来る者でなくてはならない。


その為、むりむり船から降りて貰った。


ラララが通訳をすると、


「御主人様、穀物などの食料を取引してくれるなら喜んで犬ぞりと従者をお貸しすると申しています」


「おっ、穀物?だったら問題ないでしょ?茶々、大丈夫だよね?」


と、うちの全世界の蔵の状況を把握している茶々に聞くと、


「勿論です。交渉に使うほど困窮しているなら、むしろ優先的におわけできるくらいあります」


と、言う。


それをラララが交渉になるように上手く伝えてくれると、


「御主人様、喜んで引き受けると申しています」


「ん~だったら、毛皮の防寒着とかの準備もこの際だから頼もうかな」


と、それを伝えて貰うと、勿論交渉は成立した。


「で、御主人様、この娘が族長の娘で犬ぞりも長けているそうです」


「へぇ~凄いね」


と、答えると、


「ですから、族長の娘で犬ぞりに長けているのです」


「ん?それはわかったから、なに?」


と、言うと、


「うわ、出たよ、今更出たよ、鈍感お化け」


と、後ろでお初が言うと茶々が、


「回りくどい言い方をしていますが、娘を差し出したいと言いたいのでしょ?穀物の輸入を盤石にしたいから血で結ばれたいと」


「・・・・・・はっ、?そうなの?」


「はい、そのように言っております」


と、ラララも言う。


「もう俺50過ぎたの、本当そう言うの良いから。んな、おっさんに抱かれたくないでしょ?」


と、言うと、先ほどサインを求めてきた娘は首を横に振っていた。


「本当、もうそういうのは良いから。ただ、長けているなら家臣として雇うよ。それなら良いでしょ?先ずは三千石で。で、目的が達成できたなら犬ぞり隊を正式に家臣としての部隊として組み入れるから一万石と」


「問題ございません」


と、茶々が財布事情から返事をした。


「と、伝えて」


と、ラララに伝えて貰うと、娘は少し悲しい顔を見せながらも、


「ワタシ ヘーブン ヘーブン・レイキャビク と いいます」


「よろしく頼んだよ、ヘーブン」


ヘーブンは、背のすらりと高い金髪碧眼の美少女・・・・・・胸は大きく、どことなくなぜか兎っぽい印象を受ける娘だった。


歳は19歳、片言の日本語は学校卒業生の弟子の弟子から教わり、通じるくらいまでになったそうだ。


「ラララ、また、語学教育よろしくね」


「はい、それは良いのですが、私にはここが地獄です」


と、震えていた。


「温泉あるから温泉でしっかり温まるとよいさ」


と、言うと、ラララはずっと温泉に籠もってしまった。


「常陸、せっかく行くなら儂はここを目指したいのだがな」


と、織田信長、最近マイペースおじいさんになりつつある気がする。


まあ、良いのだが。


「だから、今、いろいろ準備しているんじゃないですか。防寒着なしではいけないですから」


っとに。

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