第887話 クリミア半島改名『黒海キタイバラキ半島』

 戦乱で混乱と貧困と飢饉に襲われていたクリミア半島の立て直しを柳生宗矩に指示を出した。


クリミア半島は欧州イバラキ島とシチリア島と並ぶ、西の要としたい地。


ここを抑えることで黒海の覇権を易々とは取られなくなる。


その為に俺の支配下であることを明確にするため改名を決めた。


「この地を黒海キタイバラキ半島と改名する。新たなる城をキタイバラキ城を築く」


と、発令した。


オスマン帝国は当たり前に承認し、ヨーロッパ諸国やアメリカ大陸などの友好関係の国々も承認した。


そして、なかばあきらめた感を漂わせながらロシア帝国も承認した。


カザフスタン付近まで大きく後退した清帝国は無言だった。


「宗矩、ここの藩主を命じる」


「え?私がですか?」


「いや、本当ならもっと早くに慶次や幸村のように藩主にしたかったのだが、ついつい側に置いておきたくて遅くなってしまった。すまぬな」


と、俺は宗矩に頭を下げた。


「その様なもったいなきお言葉・・・・・・ありがたき幸せにございます」


「ただし、城を築いてから引渡しとする」


「・・・・・・えっ、御大将が造る城ですか?」


と、いぶかしげな顔を見せた。


「まぁ、そんな顔をするな。宗矩が造るとどうも質素な造りの質実剛健の城になってしまうからな。ここには巨城を築く、稜堡輪郭式の巨城を築く」


ブルタング要塞のようないくつもの鋭利な稜堡を持ち、二重の大きな水堀、そして高い土塁の城。


「御大将、失礼ながら、石垣のほうがよろしいのでは?」


「この城は大砲戦を想定している。石垣より土塁のほうが大砲の弾の威力を吸収してくれる」


「なるほど、で、天守は?」


「象徴となる天守として建てるが、大砲の狙いになるだけだから外側だけを絢爛豪華とし、中は空洞で良い。最上階を見張り台とする。あとは今後を見据えて地下壕を張り巡らせる」


今後とは、俺が始めてしまった飛行機による爆撃だ。

数十年先を考えれば、真似されないという保証はない。

その為、今後建てる城は対空戦も想定した造りが必要となる。


「御大将が言う絢爛豪華って、あれですよね?」


と、頭をかきながら明らかに困ったなぁ~と言う顔をしていた。


だが、今回の戦いでも萌えは重要な戦術として使えた。


俺の象徴たる物、今更それをやめるはずがない。


「装飾は左甚五郎をこちらに呼び寄せる。俺は一端、欧州イバラキ島に戻りたい」


「・・・・・・・御大将、寒いからですね?」


「うっ・・・・・・」


「わかっていますよ。わかりました。この地はお任せ下さい。ロシア帝国と清帝国の見張りとして西の要としてこの地を任されること。それは黒坂家の家臣の中でも栄誉たる役目」


「宗矩だからこそ安心して任せられる。ここをしっかりと固め、そして、シュピリッツァの領地回復も支援してやってくれ」


そう柳生宗矩に頼んだ。

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