第886話 釜揚げアナスタシア・リュリーク

 アンカラは長く支配され、脳のリミットが切れていたのだろう。


その為、獣人のようになり最後の力で戦った。


だが、アナスタシア・リュリークはというと、俺の結界により魔の力を封じられてごくごく普通の人間レベルの力となり、暴れることさえ出来ないでいた。


「申し訳ないです。どうして私達は、黒坂様に敵対したか・・・・・・差し出したところで、罪が消えるわけではないですが」


と、クリミア王国の騎士として働いていた中で正気に戻った者が膝を着き謝りながら、縛っているアナスタシア・リュリークを差し出してきた。


「離しなさい。私を離すのよ。この縄をほどきなさい。そっ、そうだ、黒坂様、私を側室に、そうすれば夢のような快楽を味合わせてあげるわ」


と、往生際がとことん悪い。

うちの信頼出来る家臣がアナスタシア・リュリークを受け取り、牢屋に入れた。


三日で城を完全に制圧し、大日本合藩帝国の旗が高々と掲げられた。


「常陸、あの者は地獄の業火の刑だな?」


「はい、すぐに準備して、この地にも『地獄の業火の塔』またの名を『インフェルノ・フレイム・タワー』をすぐに作ります」


「と、言う事は、この地は常陸が支配すると、その火で宣言するのだな」


「いえ、信長様が支配するんですよ。俺はそこを領地としていただく」


「あぁ、わかったわかった、もう、好きなように名前を使え」


と、建前上の事を言うと、どこか呆れていた。




1619年12月24日


 クリミア城城下町に石造りの10メートルの高い塔が急ピッチで作られ処刑の準備が整った。


その塔の天辺には大きな鉄釜がセットされている。


大勢集まる中、ホラ貝と和太鼓が鳴り響くと観客は静まりかえった。


柳生宗矩が処刑前の口上を読み上げる。


「アナスタシア・リュリーク、この者、大日本合藩帝国の同盟国、オスマン帝国で乱を起こしたあげく各地で一揆を起こさせ、平和を望む民人を混乱と恐怖に陥れた。よって、これより釜揚げの刑を行う。地獄の業火に消えよ」


俺が書いた口上だ。


宗矩が刀を抜き振り下ろすと釜の下の薪に火が着けられる。


メラメラと燃え出すと、油が少しずつ温まっていく。


最初はちょうど良い温度になるが、だんだんと熱くなる。


その熱くなる頃合いで一旦火をどける。


じわりじわりと熱するのだ。


猿ぐつわをしているアナスタシア・リュリークは顔を真っ赤にして暴れている。


釜の中で滑っては顔を油に漬け火傷した顔が見える。


皮がただれ見るも無惨な姿に変わっていく。


約20分苦しみ暴れるが、その力も尽きたようで静かになる。


そしてまた火を焼べる。


油はドンドン熱せられ煙が出てくる。


そして、発火温度になり釜の油は火を噴いた。


燃える釜の油。


「今後も、同じような乱を企てし者が現れるとき、この釜に入れてくれる。よくよく見ておけ、これが地獄の業火よ。すべてを燃やし灰も残らぬようにしてくれよう」


公開処刑の釜は常に油を注いで燃やし続ける。


いついつまでも燃え続ける刑だ。


「ここにクリミア王国は消えた。これよりこのクリミア半島はこの黒坂常陸守真琴が支配する。大日本合藩帝国の一部ぞ」


と、大声で宣言した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る