第875話 ドイツ藩・前田又左衛門利家
1619年1月15日 ドイツ藩ブリュッセル城城内
「父上様、御安心下さい。藩ないの乱はすべて抑えました」
「よくやったな、利常・・・・・・」
と、父、前田利家は弱々しい言葉で答えてくれた。
常陸様が派遣してくれた医師の治療のかいもなく、その一生の幕が閉じようとしていた。
誰もがそれを声に出さないでいたが気がついていた。
母もまた、父の横に座り続けていた。
「殿、羽柴秀吉様がお越しです」
父の顔を見ると静かに頷いていたので、
「お通しせよ」
と、命じた。
部屋に入ってきた羽柴秀吉様は腰は曲がっているものの、小麦色に日焼けをし、元気そうだった。
「なんだ、又左、だらしがないの~、儂より若いくせに」
「猿、相変わらずだな」
「儂はまだまだ生きて、子守をせねばならぬからな。又左も孫の面倒を見なければなるまい?」
「そうだな・・・・・・槍を教えねば・・・・・・」
と、弱々しくも凜々しく答えていた。
「上様もまだまだ達者、地獄の果てまで付いて行くのではなかったのか?又左」
「あぁ、そのつもりだったがな・・・・・・先方となって露払いをしていてくれよう・・・・・・先に向かっているぞ、上様と猿、お前は安心してゆっくり来い。松、ありがとう・・・・・・利常、常陸様にもよろしくとな・・・・・・夢にも思わぬ楽しい人生だったとな・・・・・・さらば」
と、言うと、静かに寝息をたてていた。
その姿に皆が涙を堪えていた。
その晩遅く、父、前田利家は息を引き取った。
満80歳
多くの戦いを勝ち進んできた武将は戦場ではなく、布団の上で亡くなった。
「利常、常陸様に御連絡を。そして、上様と常陸様に今まで通り前田家は大日本合藩帝国の一家臣である事を起請文に書いて早馬で届けさせなさい」
「はっ、母上様」
母、松は悲しみを堪え前田家存続の為に動き始めていた。
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