第869話 海対空
コンスタンツァが陥落したと知らせが届くと、ルーマニアだけでなくブルガリアの海岸沿いもすぐに無抵抗降伏の使者が次々に訪れていた。
「真琴君、そろそろ準備出来たよ。水深50メートルくらいまで調整できる水中爆破式ダイナマイト」
と、佳代ちゃんがパイナップル型手榴弾のような形の物を見せてきた。
「おっ、ピン抜くタイプじゃん」
「だって、上空でいちいち火着けていられないじゃん。せっかくだから、投げるタイプの手榴弾も作ったよ」
「ほほう、火を着けなくて良いのか?どれどれ」
「あっ、信長様、そのピン抜いちゃ駄目」
と、言う前に織田信長は一個ピンを抜いてしまった。
それを慌てて取りあげ海に投げ込むと、水柱があがった。
「ぬははははははははははははっ、面白いの」
「もう、信長様わざと遊んでません?」
と、言うと図星だったようで高笑いをしていた。
「準備出来たなら、早速始めるか」
と、黒海入り口上空を飛ぶと、戦艦艦隊は消えていた。
「ん?いない?・・・・・・でも、潜水艦はどうだか?」
と、試しに海に投げてみる。
次々と。
無駄遣いな気がするが索敵するレーダーなど持っていないのだから、この方法しかない。
すると、水柱のあとにやはり敵の潜水艦と思われる破片や、人の遺体が浮き上がってきた。
水中で潜んでいたのだろう。
しかし、潜んでいられるのだから敵の潜水艦も進化したのか?
いささか厄介だな。
織田信長は豆でも撒くかのように喜んで海に撒いていた。
鬼が豆を撒いている?
まぁ、それは良しとして、出来るなら敵の戦艦にも打撃を与えておきたかったのだが。
拠点としているイスタンブール近くの港に着水すると、織田信長は、
「なんだ、手応えが全然なかったな」
「喜んで撒いていたように見えましたが?」
「敵の戦艦に落としてやりたかったわい」
「俺もそれを狙っていたのですが、おそらく引いたのでしょう。クリミア半島を守るために」
「なら、そこまで飛ぶか?」
と、地図を見ながらやる気満々の織田信長を尻目に佳代ちゃんが、
「帰りの燃料は間違いなく足りないので無理です」
と、止めていた。
クリミア半島のどこを拠点としているかがわからない現状探しながら飛べば、間違いなく燃料切れとなる。
そんな無理は出来ない。
味方の艦隊が黒海に入れば海上での補給も出来るが。
「真琴様、まだ黒海に入らないのですか?」
と、お初も聞いてくる。
「ん~少しの間、今の水中攻撃を続けて様子を見てからにするよ。港も敵の潜水艦に厳重な警戒をして」
「はい、わかりました」
「常陸、その仕事は儂がやるぞ。空を飛ぶのが楽しくて仕方ない」
と、織田信長が言うとそれに付き合わされているアセナが大きくため息を吐いていた。
ただ、自分の祖国を元に戻すための戦いでもあるためあきらめているようでそれ以上不満を言うことはなかった。
2週間、織田信長は水中攻撃を繰り返した。
その間、少々戦艦にも手を加えた。
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