第867話 アナスタシア・リュリークの野望4

「なんで、イスタンブールに艦砲射撃しないの?」


私は怒りに満ち満ちていた。


「女王陛下、お言葉ですがこちらは火薬は手には入りますが、弾の製造や砲身の交換がそうたやすくは出来ません。今は黒海の入り口を封鎖するだけで限界です」


と、水軍を任せてある家臣から言われてしまった。


物量の差・・・・・・。


兵の差は清帝国からの援軍でまかなえたが、黒坂常陸が考案したとされる戦艦の思わぬ盲点は砲身などの交換など整備が必要だった。

戦艦をオスマン帝国から奪ったとしても、消耗品を作る拠点も抑えないとならなかった。


「女王陛下、敵はその点に気がついている様子、どうやら艦隊の拠点となるコンスタンツァを狙っているようで」


「だったら、そこの守りを厳重にすれば良いじゃない。兵はそれだけいたでしょ?」


「はい、いました」


「いました?ちょっと、薬漬けにしてバーサーカーにした兵だったはずよ?どういうこと?」


「はっ、スロバキア王国の大臣石田三成隊に大打撃を加えることが出来ましたが、援軍の黒坂常陸の重臣の一人、前田慶次の計略にまんまとはまりまして全滅とのこと。しかも、あまりにも圧倒する強さで、近隣の味方にしていた領主、砦、村々が次々に降伏。コンスタンツァは陥落間違いないかと」


・・・・・・言葉を失った。


黒坂常陸・・・・・・これほどまでに強い力で戦ってきたのか・・・・・・。


あやつはなんなのじゃ。


「女王陛下、ここは停戦の使者を出すのがよろしいかと」


と、ふざけた事を言った家臣をバッサリと斬った。


それを見ていた他の家臣達は口を閉じた。


「兎に角、黒海に艦隊を入れるんじゃないわよ。黒海を制しているうちにクリミアに補給港を造るわよ」


と、指示を出す。


操り人形のアンカラはそれを家臣達に強く厳命していた。


思うように反乱の火が世界に広がらないことも私をいらつかせていた。


夜中、一人斬った家臣の血を啜った。

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