第857話 新戦術

「ぬははははははははははははっ、愉快愉快、ぬははははははははははははっ」


と、アセナの操縦で隣を飛んでいる織田信長は上機嫌で、ダイナマイトに火を点けては下へ落としていた。

次から次へと下の石造の頑丈そうな砦に向かって。

勿論、船からの砲撃を想定しての砦なのだろうが、上はがら空き。

飛行機からの攻撃など想像していない作りだ。

当たり前だ。

今でも、飛べる機体は3体だけなのだから。


・・・・・・そう、新しい戦い方、それは『爆撃』


飛行機その物はエンジンの出力がまだ不十分なため、重たい爆弾が載せられるような物ではないが、ダイナマイトを上から落とすくらいは可能。


敵としては上からの攻撃は想定外。


対処する方法もない。


ただ、落ちてくるダイナマイトに慌てふためくだけだ。


上空に向けて、鉄砲を撃っても届くはずもなく、槍のような物まで向けている兵まで見えた。


まるで竹槍でB-29を突き落とそうと言う滑稽な姿のようで織田信長はそれを見ては容赦なくダイナマイトを放り投げていた。


エーゲ海から黒海へ入る最初の海峡、ダーダネルス海峡の両脇に作られた砦をダイナマイト爆撃で混乱させ、お初率いる艦隊が艦砲射撃でとどめを刺し、お江が率いる地上部隊の忍び集団が一気に占領した。


「ぬははははははははははははっ、これでその『爆撃』とやらをした世界初に名を残せるな」


と、織田信長は上機嫌だった。


どうやら、織田信長、俺が『世界初、発見者になった』などと喜んでいるのを近くで見ていたせいか、気にしていたみたいだ。


「織田信長と黒坂真琴・・・・・・ふしぎ発見で『世界初の爆撃をした人物』として問題に出題されるかもね」


と、佳代ちゃんは笑っていた。


「出来れば俺の名前だけで残したかったかな」


と、ふしぎ発見欲望を出すと佳代ちゃんは苦笑いをしながら、織田信長のほうを見て


「あれほど、生き生きと爆撃しているのに名前残さなかったら駄目でしょ」


と、言うので頷くしかなかった。


この爆撃の敵に与えた衝撃は大きかったようで、敵は大きく後退しイスタンブールに集結した。

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