第822話 ???

「おい、聞いたか、黒坂常陸への襲撃」


『あぁ、聞いた、何でも先代皇帝と側室には手傷を負わせたらしいぞ』


{くそ、今一歩の所だったな}


【なんでも少ない家臣の護衛だけで、捨てられた古い町などを巡っていたらしいぞ】


「なんだ?聖杯だか、パンドラの箱、ロンギヌスノ槍でも探し回っているのか?」


『さぁ、そんな噂は耳にしていないが、なんでもエジプトの古代のファラオの墓を見つけて金銀財宝を手にしたとか』


【結局は金銀財宝、巨万の富を欲しがる俗物か?】


{いや、どうもそうではないらしいぞ。探し当てた財宝はすべて現地保存しているとか}


「行動の意味がわからん」


『それに、エルサレムでもキリスト、ユダヤ、イスラムの聖地に頭を下げたとか』


「なにを考えているんだ黒坂常陸は。それより誰が暗殺者を出したんだ」


『俺ではないぞ』


{俺でもない}


【俺も違うぞ】


「いったい誰が手を出したんだ、下手に疑われて逆鱗に触れたら我が国はなくなるぞ」


【うむ、見舞いの使者だけは出しておこう】


{返って疑われないか?}


『そうだが、使者を潔白の証明として人質として出そう』


【だが、前に送った我が娘は断られて今は、オスマン帝国のパシャに嫁いでしまった】


「お前の娘は高飛車過ぎたのだ。だが、お前の娘が嫁いでくれたおかげで、アメフトスも侵攻を止めたな。もっと、おしとやかな娘、我々の腹の内もわからぬような娘にしなければ」


『よし、我が領地、ウクライナにいる側室の娘を出そう』


【ふはははははは、お前が世話しないから農民になった娘だな】


「まぁ、悪くはないだろう。兎に角、人質に差し出し怒りを買わぬ事が先決」


『しかし、誰がそのような隙に気がついたのか知りたい物だ』


【しばらくは警戒が厳しくなるだろうが、また、機会があるやもしれぬな】


『あぁ、だが、我らは手を出さぬぞ、良いな。戦う準備、国力が整うまでは絶対に逆鱗に触れてはならぬからな』


{わかっているさ}


・・・・・・。

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