第821話 怒り

 急遽、ムリタファスが集めた護衛は一万人という大軍。


その軍に囲まれながら、ガザの港に行き、戦艦に乗船してカイロに入った。


欧州イバラキ島に向かわなかったのは船の揺れで、織田信長の傷が開くのを恐れたのと、流石に肋骨を骨折してしまった、お江を気遣ってだ。


「襲撃した者の主を見つけ、油揚げにせよ」


と、傷が治りつつある織田信長は怒りをふつふつと、わき上がらせていた。


「うちの忍び総掛かりを命じました。おそらくオスマン帝国アメフトス殿と俺が仲良くしているのが気に入らない者でしょうが」


柳生宗矩の裏柳生に、前田慶次の家臣の忍び、真田幸村の戸隠の忍び、伊達政道の黒脛巾組と忍びをたくさん抱えているので、その者達を各地に走らせる。


「あの遺体は当方で始末して良いでしょうか?」


と、ムリタファスがカイロに発つ前に聞いてきたので、任せるとイスタンブールで牛裂きにしたあと燃え上がる油に入れ跡形もなくしたそうだ。


そして、オスマン帝国皇帝アメフトスの名の下に、暗殺を企てた者を探し出し一族郎党皆殺しにすると発令された。



カイロに入ると、


「父上様、油断が過ぎまする」


と、琴彦にも怒られてしまった。


「うん、友好国の地で油断した。心配かけて、すまん」


「父上様は世界を導く指導者、少しは自重してください」


と、怒る琴彦を茶々が「それ以上は」と、止めていた。


だが、どこかに留まり指示、命令を出すだけの長にはなりたくはないし、好奇心や観光だけでなく、自分自身で目にして行動しないとならない事もある。

お飾りの統治者の道は俺は選択したくない。


「佳代ちゃん、ごめん、一度欧州イバラキ島に戻って、戦車の大量生産を本格的にお願いして良いかな?キャンピングカー仕様の防弾牽引車付きで」


「もう、仕方ないわね。すぐに取りかかるから真琴君は大人しくしていてよね。信長様の傷とお江さんの治療は小滝さんに任せるから」


と、飛行機を飛ばして欧州イバラキ島に帰って行った。

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