第799話 ロシア帝国使者

「御大将、ロシア帝国ミハイル・ロマノフ皇帝の使者が訪れていますが、いかがいたしましょう?」


「え?向こうから出向いてきた?」


「はい、用向きは敵対の意思がないことを伝え、不可侵条約及び国境を決め、また、侵攻してこようとしているオスマン帝国を止めて欲しいとの事で」


なるほど、うちは積極的侵略はしないがオスマン帝国はそうとは限らない。


オスマン帝国はうちとは友好国、スロバキア王国もうちの友好国、攻めるに攻められなければ、勢力圏拡大は北に向かうか。


オスマン帝国も勢力圏拡大路線を止めさせないとならない時期に来たか。


「いかがいたしましょう?」


「オスマン帝国の侵攻の件は俺が受け持つが、国境線確定はスロバキア王国に任せる。俺がすべての事に介入するのは、そろそろ止めねばならないときだと思っているからな。ヨーロッパの監視はスロバキア王国と前田利家、慶次、蒲生氏郷、フランス王国に託そうかと考えていた」


「では、そのように返事をし、会わないという事でよろしいので?」


「あぁ、そうだな。まずはバードリ・エルジェーベト女王に任せる」


「そうですか。美少女なのでバードリ・エルジェーベト女王殿下は、お気に入りになされるかもしれませんね」


「宗矩、今、なんて申した?」


「使者はアナスタシア・リュリークと言う皇帝の縁戚の娘でして、使者及び人質になるよう申し付かってきたそうです」


「娘?」


「はい、金髪碧眼で18歳と言う話で、御大将がお好きな美少女です。バードリ・エルジェーベト女王にも気に入られるでしょう」


「・・・・・・ちょっと、待て。俺が会う」


「ははははは、やはり、そう言うと思っておりました。控えの間に待たせてあります」


「宗矩、そちも悪よの~」


「はい?私が悪?なにを言っているのかわかりませんが、御大将の好みを帰してしまったと、あとで知ったら怒るでしょ?長い付き合いなのでそのくらいわかりますよ」


と、柳生宗矩は俺の心の弱いところを突いてきた。流石だ。


「うっ、その通りだ。別に側室にするつもりはないが可愛い美少女は見ておきたい」


「そう言うと思っていましたよ」


と、柳生宗矩は大きくため息を吐き、拝謁の仕度を調えに行った。


俺は普段着の作務衣から羽織袴に着替える。


「御主人様、茶々様がたがいないうちに美少女に鼻の下を伸ばしていたと知られると、お初様に怒られますよ」


茶々達は織田信長とともにアドリア海クルージングを楽しんでいて不在。


「桜子、使者だからね。御使者」


「わかっていますが、気を付けて下さいね」


と、念押しされてしまった。

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