第781話 冒険家・織田信長
儂は、あと何年生きられるのだろうか?
死の直前まで様々な物を見聞きしたい。
常陸が保護する古代文明も良いが、異国の生物も良い物。
儂は、その生物を見たくナイル川を上った。
川を上るにつれ、景色は変わり緑が多くなると、様々な動物が見えた。
黒白柄の馬や、鎧を着たような巨大な豚?川を泳ぐ巨大な口を持つ豚?長い鼻を持つ巨大な生き物や、長い首に長い足を持つ黄色い馬?・・・・・・乗りにくそうだな。
「皇帝陛下、どうか、船から見るのだけで我慢して下さい。我々でも御身の安全を確保出来ません」
と、常陸の家臣の柳生宗矩が言う。
確か、樺太で巨大な熊と戦ったと聞いている。
そのような者の言葉を無視するほど愚かではない。
そして、儂が上陸することで、儂に襲いかかる動物たちを殺さねばならなくなるのは、無益な殺生だ。
生きとし生けるものすべての命は平等の価値がある。
殺すには殺すだけの理由がなくてはならない。
「うむ、わかっておる」
と、船から水辺に集う生物達を観察した。
停泊する船・・・・・・目の前には、停止している大型の鳥?
ん?
なんだ、あの鳥は?立ったまま停止しているな。寝ているのか?いや、水面を見ているのか?
大きな嘴
くちばし
を持つ灰色の鳥・・・・・・。
と、突如水面に嘴を入れたと思うと巨大なナマズのような魚を一飲みにした。
おぉぉぉぉ、自然と同化して魚を待っていたのか。
鷹のように自ら進んで獲物を捕獲する鳥も良いが、あのようにジッと待つ鳥も良い物だ。
「宗矩、あの鳥を五羽ほど生け捕りにせい。儂の手元に置きたい」
「はっ、すぐに」
と、言うと、猿飛佐助が痺れ薬を塗った手裏剣で捕獲した。
「五羽で良いと言ったぞ」
十羽捕まえられていた。
「はっ、私もあのような、ずっと待ち続ける鳥に惚れました。私も領地で飼いたいと思います」
と、宗矩は言う。
「うむ、そうか、常陸に見つかると唐揚げにされそうだがな」
「あははははははっ、確かにで御座います」
と。
その大型の鳥を連れてカイロに戻ると、
「うわっ、良いな~ハシビロコウさんだ」
と、常陸は『さん』付けで呼んでいた。
「食べるなよ」
「食べないよ~~~~~~~~」
と、常陸は甲高い裏声で叫んでいた。
ん~なにか、あるのだろうか?
・・・・・・常陸、このハシビロコウと言う名の鳥まで萌美少女化して絵に描くのか?
もう変態の極みだな。
呆れた奴だ。
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