第767話 砂嵐と来訪者

 一晩休み、いざピラミッドへ


・・・・・・


「皇帝陛下、父上様、外は砂嵐がひどう御座います。本日は諦めて下さい」


と、桃信に止められてしまった。


外は数百メートルも見えない砂嵐、こうなっては外に出られない。


「砂嵐・・・・・・うむ、なるほど、砂漠と言う広大な砂地が近くにあるのだな。サハラ砂漠・・・・・・うむ、横断してみたい物だ」


と、電子辞書で調べて言う織田信長。


この御老体で、砂漠横断なんて出来るのだろうか?と、思ったが、朝から羊肉のケバブをしっかりと食べ、オスマントルコ製法の濃いヨーグルトをバナナと和えて食べていた。


うん、この食欲なら大丈夫かもしれないな。と、一人感心していると、ナイル川の港に一隻船が到着した。


「常陸様、お久しぶりに御座います。そして、アセナとの子おめでたい。これでまた我らの中が深くなりましたね」


と、挨拶をしてきたオスマン帝国皇帝アメフトスだった。


首都イスタンブールから来たとのこと。


「常陸様が我が国に来ると聞いていながら、挨拶なしなど出来ましょうか」


「アメフトス殿、そんなに気を使わないで下さい。俺は単純に遊びで来ているので」


と、言葉を交わしたあと織田信長に面会させて一通りの挨拶を済ませた。


「アメフトス殿、いつも見事な織物の贈り物ありがたい」


と、織田信長は一言礼を言い自室に入り、電子辞書でエジプト関連項目を読みふけっていた。


織田信長、完全に外交は俺任せ。


茶々に抹茶を点てて貰い、日本のお茶でもてなすと、渋い顔をしていた。


「あっ、甘い方が良いのですよね?待って下さい。面白い飲み物が出せますから」


と、桜子に頼む。


コーヒーに練乳を入れ、極限まで甘くしたコーヒー。


平成時代、茨城県民は箱買いをして備蓄をしていた二大ソウルドリンクの一つ、マックスなコーヒーに似ている物を出すと、アメフトスは「ふぅ~」と、言いながら顔が緩んでいた。


「皇帝自ら、わざわざ来たからには何か話があるのですね?」


と、言うと


「いろいろと込み入った話があるので」


と、言う。


護衛を外に出し、二人っきり会談となった。

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