第765話 エジプト上陸
1613年12月
「真琴様、お江から聞きましたが何か企んでいるのですか?もしや、乗っ取り?奇襲?」
と、茶々が船の中で言うと、お初が、
「また、謎の古代遺跡を見に行きたいんでしょ?伯父上様もピラミッドを見たいと言っていたし。インカ帝国でも、わざわざ乾燥した大地に行きましたよね」
と言う。
「これはお初が正解。茶々のひとしくん人形ボッシュート」
と、言うとそのジョークをわからない三人は当然「何を言っているの?」と、言う顔をした。
「オスマン帝国のアメフトス殿とは兄弟杯を交わした仲なんだよ茶々。そんな国に攻めることなどしないよ。俺は今回どうしても発見したい物があるんだよ」
「発見?」
と、茶々が聞いてきたが、それ以上は、まだ言わない。
俺と織田信長の一行は、アレクサンドリア港からエジプトの大地に降り立った。
アレクサンドリア港は古くからの地中海の玄関口として発展している。
カイトベイ城塞を持つ港で、大工事がされ、人工の大きな入江がある。
そこに、KING・of・ZIPANG Ⅳ号と、戦艦・伊弉冉尊入港。
潜水艦の『健御名方』と『蛭子命』は、外海に停泊させた。
猿飛佐助と霧隠才蔵は下船させ、織田信長の護衛とした。
アセナが『じいや』と呼ぶパシャのムリタファス・ケラル・アダディリュクと、先に警備として来させた柳生宗矩が出迎える。
「ふぉっほほほほほ、この地に日本国皇帝陛下と常陸様を迎えることが出来るとは光栄に御座います」
「ムリタファス殿、今回は私的な観光ですので、あまり気遣いは」
と、言うが、バン神殿で盛大な宴が催された。
織田信長はビールと、モロヘイヤのスープやヒヨコ豆の料理を気に入り食べていた。
謎のペースト状の食べ物も食べては喜んでいる。
「美味いぞ、常陸の作る料理とはまたひと味違って良い」
イスラム教は元々は飲酒が禁じられているが、アメフトスは多宗教少数民族文化尊重の俺の考えに同調してくれているため、エジプト文化としてビールやワインの生産も力を入れ交易品としていた。
エジプト料理文化は野菜と豆、オリーブオイルを混ぜ合わせた謎のペースト状の食べ物がある。
健康には良く、平成時代『地中海料理』として、日本でも見られるようにはなっていたが、どうも俺は苦手だ。
・・・・・・俺は・・・・・・この野菜のくせにどろりとした食感が許せないんだよな。
と、モロヘイヤの入った料理を残すと、ムリタファスは
「お口に合いませんでしたか?」
と、気にかけてきた。
もてなしの料理で相手を不快にさせてしまうのは、言語道断などと言うのは万国共通。
「いや、モロヘイヤが苦手なだけなので気にしないで下さい。モロヘイヤは血圧を下げ抗酸化作用のある栄養価が高い野菜なので、栽培はどんどんすべきです。うちの領地でも栽培したいので、種を分けて欲しいくらいなのですが」
と、言うと、
「御主人様は納豆やとろろは平気なのに、緑の野菜のとろみがあるの苦手ですよね?」
と、桜子が言う。
「なんか生理的に苦手なんだよ。あのオクラなんて見た目シシトウなのに何で粘ついているんだよ。あれは魔界から来た食べ物じゃないか?って思うんだよ」
と、言うと
「地獄にあんな美味しい物があるはずがありません」
と、言うなか、茶々達女性陣は喜んでモロヘイヤを食べていた。
ん~なんで、女性陣は粘つく野菜好きなのだろう?不思議だ。
羊肉や鶏肉のケバブは美味しく、口に合うので喜んで食べていると、ムリタファスも一安心の表情を見せていた。
デザートに頭が痛くなりそうな甘さのお菓子が出たのは、俺だけではなく織田信長も少々苦笑いを浮かべていた。
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