第757話 妊婦達

「取り敢えず、ただいま帰った。みな元気そうでなによりだ。お初、留守ご苦労」


と、労うと


「お帰りなさいって、良かった。姉上様も、これからは一緒なのね」


と、返事をした。


「お初、久しぶりですね。元気そうで何より。私も一緒に世界を見たくて付いてきたのですが・・・・・・忙しくなりそうですね」


と、アセナ、ミライア、オルショリャ、佳代ちゃんのお腹を見て茶々は喜ばしいが大変になりそうという苦笑いに近い表情を見せて言った。


「大丈夫、私が手伝わせていただきますから」


と、前田松様が言う。


「義母上様、お久しぶりにございます」


と、前田利常が挨拶すると


「あら、利常、こちらではなく、父上様の所に向かいなさい。父上様は毎日算盤はじいて忙しくしていますから」


と、利常を慌ただしくドイツに向かわせる前田松様は相変わらずな感じ、肝っ玉母さんって言葉が似合いそうだ。


「三人そろったね~」


と、お江は久々に三姉妹がそろったことに上機嫌でいた。


「お初、留守中変わったことはなかったか?」


と、聞くと


「オスマン帝国の使者が訪れて、御希望通りにカイロに大日本合藩帝国の大使公邸として館を築いて、大使を迎え入れる準備が出来たと、使者が来たくらいで、あとは前田利家殿と、前田慶次と石田三成がバードリ・エルジェーベト王女が住む城の建築の協力と、残っていた敵対勢力の殲滅をしていたくらいよ。あっ、バードリ・エルジェーベト王女は見事無事に男の子を出産して、母子ともに健康の知らせが来たわよ。羽柴秀吉殿の喜びと言ったら尋常じゃなかったんだから」


羽柴秀吉に男子の誕生、それは喜ばしいことだ。

佳代ちゃんが伝授した医療技術で高齢出産を成功させたという。


「で、佳代ちゃん達は大丈夫なんだね?」


と、聞くと、産み月の予定は八月だった。


ふぅ~なんとかギリギリ帰ってこれたわけか、間に合って良かった。


オスマン帝国在住の大使か・・・・・・しばらくは桃信に入って貰うか。


桃信には、オーストラリアに入って貰いたかったのだが・・・・・・。


琴彦をしばらく慣れさせたあと、オスマン帝国に行かせるか。


「琴彦、取り敢えず、前田慶次のもとへ行き、異国がどういう物か慣れてこい。桃信、しばらくのあいだ、カイロに入り在オスマン帝国大使を命じる」


欧州イバラキ島ではほとんど日本なので、イタリアにいる前田慶次の元に行かせることにした。


「はい、父上様」


と、琴彦も慌ただしく出発した。


桃信は予想していたらしく、準備は整えていた。


「おおよその見当は付いていたので。父上様はしばらくはこちらで?」


「うん、しばらくは地中海近辺におる。ヨーロッパの安定を確固たる物にするためにな」


「では、なにかありましたらお伺いをたてます」


「いや、異国在住大使は、いちいち本国の連絡待ちをしていたら何事も話が進まぬ。桃信、お前なら俺の考えも想像できるであろう。オスマン帝国との窓口として全権を任せる。護衛として、この度、常陸から連れてきた護衛艦隊三隻も連れて行け」


「はっ、しかと父上様のお考えにそえるようにいたし、働かせていただきます」


と、桃信は護衛艦三隻と共にカイロに向かった。

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