第739話 首都安土城
賤ヶ岳城から蒸気機関船で琵琶湖を東に向かう。
琵琶湖は大小さまざまな船が行き交う。
そこをやはりと言うのか萌美少女の装飾がされた船で向かう。
前田家らしく槍を振るう美少女が印象的な装飾。
船首と旗には梅鉢の家紋があり、御用船との旗も掲げられていたので行き交う船は皆避けていた。
琵琶湖でもわかる安土城は俺がタイムスリップしたときと変わらぬ姿で健在する。改めて未来にも残って欲しいと願った。
安土城周辺は小さな港が複数整備され、それに付随して蔵町が見える。
蔵町は場所によって、古くからある土蔵と呼ばれる日本古式建築の形の蔵町、俺が開発提案したドーム型の蔵町、アーチ型の蔵の蔵町、高床式の蔵が並ぶ蔵町が見えた。
「利常殿、あれは?」
「はい、兄上様が災害に備えて形の違う蔵町を作ったほうが、地震で崩れやすい物、暴風雨で崩れやすい物にとわかれるのではないか?と、形を統一せずに作った物に御座います」
リスク配分になるのはたしかだ。
同じ建築術で建ててしまえば地震により倒壊する建物は、多くなる可能性がある。
だが、違う建築術なら地震の揺れの特性によって倒壊するもの、しないものにわかれる。
なので、一つの建築術に固執しないのは理想的だ。
「なかなかの名案」
と、言うと、
「安土城の建物もその様にしております」
と、見えてきた全容が見えてきた安土城。
麓に広がる拡張された城には、ドーム型の建物にアーチ型の蔵などが見えた。
「あの半球体の建物が、政庁の丸として日々旗本などが仕事をする場となっております」
と、説明してくれた。
和洋折衷ならぬ古未来折衷の城へと進化をしていた。
そんな安土城の港の桟橋から上陸すると今も変わらぬ姿の二の丸にある俺の屋敷に通された。
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